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◆日米両政府で妥当性見直しを 渡辺周・元防衛副大臣

沖縄の基地問題について話す国民民主党の渡辺周衆院議員

沖縄の基地問題について話す国民民主党の渡辺周衆院議員

―政府は新型コロナウイルスの影響で中断していた新基地建設を、6月の沖縄県議選後に再開した。

 「辺野古の埋め立て予定海域の海底で軟弱地盤が見つかり、防衛省が主張する2030年代の完成は疑わしい。このまま続ければどんどん建設費も膨らんでいくし、仮に完成しても地盤沈下が起きて『無用の長物』になり、1兆円近くが無駄になる。まずは工事を停止すべきだ」
 ―埋め立てが進んでいる軟弱地盤以外の部分はどうするか。
 「日米両政府に、利害関係者の沖縄県と名護市を加えて四者で新しい協議体をつくって議論するのが良い。地元の意向を尊重することが重要だ」
 ―政府は新基地が完成しなければ米軍普天間飛行場(宜野ぎのわん市)が返還されないとの立場だが。
 「米国も政権交代する可能性があり、米政府の今後の方針を見極めながら日米両政府でもう1度検討し直すことが必要だ。普天間飛行場の米海兵隊を辺野古に移すという検討が始まったのは四半世紀も前のことだ。今後の安全保障環境を見据えて妥当なのか考え直さなければならない」
 ―新基地建設以外の代替策は。
 「米空軍嘉手納かでな基地に普天間飛行場の機能を持ち込むのがベストだと民主党政権時に考えたが、地元の嘉手納町などが反対した。ただ、嘉手納への統合であれば新しく基地を建設しなくて済むので、可能性をもう1度検討すべきだと思う」
 ―政府が地上イージスの配備計画を断念した。
 「当然の帰結だ。このまま配備されるとしても27年ごろだろうが、その時には脅威の質は変わっている。政府は朝鮮半島からの弾道ミサイルを想定して秋田、山口両県への配備を進めたが、北朝鮮も技術を進歩させており、潜水艦で太平洋から弾道ミサイルを撃つかもしれない。安倍政権が、地上イージスが日本の防衛に本当に役立つと考えていたのか疑問だ」
 ―自民党では敵基地攻撃能力保有の是非の議論を始めた。
 「専守防衛の観点から地上イージスを導入するという話だった。二足飛びで敵基地攻撃能力の議論になるのは安倍晋三首相の単なる争点ぼかしではないか。こういう問題が地上イージス断念やコロナ禍のどさくさに紛れて出されるのは、非常に危険だ」
 ―地上イージスに代わるミサイル防衛をどうすべきか。
 「極超音速滑空弾などミサイルが日進月歩で進化している中、それを察知して撃ち落とすのにはいくら予算があっても足りない。対策を講じても突破するミサイルが開発される。血を流さずに最も効率的に相手を無力化させることに重きを置き、サイバーや衛星を駆使して相手の能力や通信をまひさせる抑止力を検討しなければならない」

 わたなべ・しゅう 1961年生まれ。早大卒で新聞記者、静岡県議を経て2011年、防衛副大臣に就任。現在は国民民主党副代表。