平成 26年 2月 26日衆議院予算委員会第四分科会速記録(議事速報)

○萩生田主査これにて船橋利実君の質疑は終了 いたしました。 次に、渡辺周君

○渡辺(周)分科員民主党の渡辺でございます。 それでは、早速質問に入らせていただきます。 私は文部科学の委員会はなかなか所属したこと がないものですから、いろいろ尋ねようと思って いることを、もうちょっと時間があったらいっぱ いしたいところでありますが、三十分という限ら れた時間ですので、幾つかの項目にわたってお尋 ねをいたします。

まずお尋ねしたいのは、最近報道されているよ うなことの中でぜひとも伺いたいんですが、「ア ンネの日記」が図書館で今破かれているというか、 カッターで切り刻まれているのか、いろいろなこ とで、これは連日被害が報告されています。

東京の西部の方と、一番ひどかったところが杉

並区で、そして最近のニュースではたしか横浜で も、「アンネの日記」などが三百数冊にわたって 切りつけられている、あるいは破損されていると いうことでございます。

これは、図書館に入るということを、なかなか 図書館の警備の中で、怪しいやつは入ってきてい ないのか、あるいは本を読んでいるところを余り しつこく巡回して、本来の図書館というものにな じまないんじゃないかなということで、これは各 図書館も大変苦労していると思うんですね。

そこでお尋ねしたいのは、今回のことを受けて、 今、文部科学省としてどういう対応をしているの か、あるいは今後していかなければいけないと考 えているのか。

もちろん、警察の捜査は別ですけれども、図書 館というものの持っている公共性といいますか、 開放性というものを守りながらも、続けてこうい うことがないようにどうしていくかということに ついて、今の取り組み、そして、これからの取り 組みについての考え方を伺いたいと思います 。

○下村国務大臣「アンネの日記」は、私が中学 生のころは必読書のように読まれたものでござい まして、そのときの記憶があるものですから、オ ランダに行ったときに、アンネの隠れ家を探して 見に行ったことがございます。 御指摘のように、公立図書館は、国民の教育と 文化に寄与するため、さまざまな種類の幅広い図 書を蔵書しており、多くの人々の利用に供してい るところであります。そういう図書館が所蔵する 貴重な蔵書が大量に破損されたということは、こ

れはもう許されるものではなくて、まことに遺憾 であります。

現在、警視庁において捜査本部を設置し、鋭意 捜査を進めているところであります。都内の図書 館では、関連図書を職員の目の届きやすいカウン ター周辺に移したり、館内の見回りをふやすなど の対策を講じているというふうに承知をしており ます。

文科省としても、東京都教育委員会を通じて被 害状況の把握に努めるとともに、今御指摘ありま したが、横浜市においても同様の被害、これはま だ一冊ということでありますが、報道されている ということから、この被害拡大の防止を図るため、 全国の教育委員会に対し注意喚起をしてまいりた いと思います 。

○渡辺(周)分科員いろいろなやり方があるん だろうと思います。 ぜひ注意喚起、といっても、来館者に対して、 捜査機関じゃあるまいしというところもあるでし ょうから、じろじろと誰何するような目ではなか なか見ることはできないだろうなと。それは、ぜ ひ万全の警備も含めて、もうこれ以上の被害がな いようにしていただきたいと思うわけです。

といいますのは、この問題は日本でも大変大き く報じられておりますが、大臣も御存じのとおり、 海外のメディアも大変関心を持っておりまして、 ぱっと見ただけでも、BBCであるとかニューヨ ーク・タイムズであるとかさまざまな、イギリス のABCであるとか、いろいろな報道が出ていま す。そしてまた、ユダヤの団体も、このことにつ

-1

平成 26年 2月 26日衆議院予算委員会第四分科会速記録(議事速報)

いては胸を痛めている。イスラエル大使館は、例 えば毀損された分の三百冊ですか、寄附をしたい というような申し出があったりしています。

何でこんなことをする人間がいるのかなと私な りにあれこれ考えてみます。これは、一つには、 やはり愉快犯といいますか、世の中に騒動を起こ したい、少し尋常でない考え方を持った人間が、 たまたまこの本をターゲットにした。あるいは、 アンネ・フランクに関係するシリーズ、中にはア ウシュビッツのいわゆる収容所も被害に遭ってい る。あるいは、そのことに触れた方の本も被害に 遭っているということも確認されています。

ですから、このこととあわせて、もう一つは、 本当に思想的な考えを持って、いわゆる反ユダヤ というのか、あるいはネオナチというのか、そう いう人間が、本当に思想的に何かに駆られてやっ ていることなのか。

あるいは、もっとうがった見方をすると、何か こういうことをすることによって、日本ではナチ スのあの大虐殺を否定するかのような人間が日本 にいるということにおいて、対外的に日本の名誉 をおとしめようと。だから、結局そういうことに つながると私は思うわけですね、こういうことが 出ますと。

ですから、それだけに、これは警察とも協力し て、我が国は、アンネ・フランクに代表されるナ チスの虐待、あるいはナチスの大虐殺、ホロコー ストも認めない、何よりも、ヒトラーの行った民 族浄化という名前のジェノサイドに対してはもう 絶対許さないという姿勢をしっかり見せていただ

きたいと思いますし、それがわかるような形で対 外的にぜひ発信をして、日本の教育行政を担当す る大臣が非常に胸を痛めている、そして警察当局 とも話をして、このことについては徹底して、犯 人を特定して捕まえるんだということは、やはり 私たちは、これはちょっとそれますが、リトアニ アの領事であった杉原千畝さんが、六千人の命の ビザを書いて、先日もちょっとテレビで紹介され ていました。杉原千畝さんが、ヒトラーから逃れ てきたユダヤ人たちのために、もう最後の最後、 ソ連に追い立てられて、ロシアに追い立てられて、 そこの領事館を離れるまで、駅のホームでも最後 までビザを書き続けた。この人の美談というのは、 リトアニアという国では全員が教科書で学ぶとい うことをこの間テレビでもやっていました。

実は、この杉原千畝さんの奥さんは私の地元の 沼津の方でございまして、杉原千畝さんは岐阜県 の御出身ですが、外務省を追われて、職を転々と した後、日本に帰ってきたときに、戦後、沼津に、 私どもの地元にしばらくいらっしゃったんですね。 奥さんの地元、実家のある沼津に住んでおりまし た。そのことは、実は、亡くなった杉原幸子さん、 奥様に直接聞いたお話なんですけれども。

こういう方がいて、ユダヤ人の世界では、我々 の先祖を救った杉原千畝、皆さん方はセンポと呼 びますけれども、この人が、この日本人一人が、 六千人のユダヤ人の、ヒトラーの魔の手から逃れ る日本通過のビザを書いた。もちろん、日本に来 て、日本からアメリカに渡るときにもいろいろな 方の協力があったわけですけれども、我々は、そ

の尊敬される杉原千畝の母国でもございます。こ の国でこういうことはあり得ない、また、そうい うことがあっても、本当に一部の尋常ならざる人 間がそういうことをしているのか、あるいは何か の意図を持ってしているのか、そういうことにつ いては徹底してやるということを、ぜひ対外的に もメッセージとして出してほしいんですね。

警察が捜査しているから、何とか警戒しながら 捕まる日を心待ちにしているのではなくて、対外 的に、少なくとも、杉原千畝の母国である日本が、 このナチスのやった蛮行を認めることはない、こ んなものを肯定する日本人はいないということを、 ぜひいろいろな言葉に訳して、文部科学大臣とし てのメッセージを出していただきたいと思うんで すけれども、いかがですか 。

○下村国務大臣先ほど申し上げましたように、 「アンネの日記」というのは、これは我々が中学 生のころは必読書であったということを申し上げ ましたが、日本は、人権について、ユダヤ人の問 題においてもそういうふうに捉えている。 また、杉原千畝のお話がありましたが、これは、 出身が早稲田大学ということで、渡辺周委員にも 御協力いただきましたが、我々、早稲田出身の国 会議員が寄附を集めて、そして、早稲田大学のキ ャンパス内に杉原千畝の記念碑を建てて顕彰する ということをしたわけでございます。

これを受けて、イスラエル大使館も、ぜひ協賛、 協力したいということを言ってこられた中で、杉 原千畝の子孫の方々も、その関係者がNPO法人 をつくって、岐阜県にも記念館がありますが、そ

-2

平成 26年 2月 26日衆議院予算委員会第四分科会速記録(議事速報)

ういう形で連動し、それを日本がやっているとい うことについて、ぜひイスラエルにも来て話をし てほしいということがあって、残念ながら、ちょ っと時間がなくて、早稲田出身の国会議員が何人 かで行く予定が、なかなか行けない状況でありま すが。

そういうことをしっかりと、ユダヤの関係の方 々、イスラエルの方々、もちろん世界の方々に対 して示していく必要があるというふうに思います。 ですから、今回の出来事が、そういう間違ったメ ッセージとして世界に伝わるようなことがあって はならないわけでございまして、その辺、捜査当 局と、よく状況を把握しながら、的確に判断をし、 世界に対して間違ったメッセージが日本から行か ないような対応に対して、私もできることについ てはしっかり対応してまいりたいと思います 。

○渡辺(周)分科員大変、同じ考えを持ってい らっしゃるということで、非常に心強い思いがい たしました。 今、間違ったメッセージにならないようにと。 この対外的な発信ということは、私は常々、何か があるたびに、日本人の美徳というのは、善意と いうのが、正しいことは黙っていてもきっとわか ってくれるはずだ、世界の誰もが理解してくれる はずだ、我々が一生懸命努力していれば必ずかな うように、おてんとうさまが見ている、そんな思 いの中で日本人は生きてまいりましたが、善意を、 逆に言うと、つけ込まれてプロパガンダに使われ る、反面でそういうこともあるわけでございます。

このことについて、ぜひちょっとまた大臣にも、

これはもう既に国会ほかでも、予算委員会等でも 質疑されていることですが、今、このアンネ・フ ランクの日記は世界の記憶遺産というものになっ ているわけでございます。ユネスコにある世界遺 産、このことに対して、いわゆる慰安婦をあわせ て、これも世界遺産に残すべきだということを、 ユネスコの事務局長が訪韓した際に、二月ですけ れども、このアンネ・フランクの日記を引き合い に出しながら、韓国の女性の長官が、趙允旋とい うんですかね、女性家族部の長官、この方が、一 月末にアングレームというところで国際漫画祭を やったときに、その後、こういうことを言い始め た。つまり、ホロコーストに慰安婦を重ねている。 韓国は、今そういう活動をしているわけでござい ます。

この点について、これは全く別の問題であって、 先般の予算委員会における石原信雄元副長官の発 言にもございました。本当にいろいろすり合わせ をしながら、最後まで裏を、確証、確認をとれた わけではないけれども、実はああいうことになっ たと。

実は、私どもも同僚の議員と、もう随分前です けれども、石原さんがお務めになっていた、一番 町にある、ある財団の理事長をやっていらっしゃ ったときに会いに行きまして、当時の談話のいき さつについても伺うことができました。ただ、外 に出さないでほしいという形で当時はヒアリング をしたものですから。そのときはやはり韓国との 関係改善を優先的に考えて、ある意味でいえば、 情況証拠がない中で、客観的なものがないけれど

も結論を急いだ政治的産物であったということは、 そのときに伺ったわけです。今回も、そういう意 味では、日本の善意がああいう形になってしまっ たということで、今もこのことが尾を引いている わけでございます。

そして、世界に慰安婦の像がつくられる。そし て、漫画展に行ったら、世界の中で日本の漫画は、 クール・ジャパンの一つの、日本人が世界に売り 出す、そして世界の若い方も、ヨーロッパに私も 行きましたけれども、コスプレをする若いティー ンエージャーたちがいたり、日本の漫画やアニメ が大好きだという、ショップもあるんですね。ち ょっと違和感を感じるぐらいに、ここまで好きな 人たちがいるのかと思いましたが。そういうとこ ろで、日本の漫画ではなくて、韓国が、いわゆる 慰安婦のことを、政治的テーマを本来ならしない と言っていたのが、これは普遍の人権問題だと言 って、やったわけですね。

このことを考えると、また、ユネスコに対して、 その慰安婦の記録というものがどんな形で残って いるのか。石原さんのお話を聞くと、ないからあ のような曖昧なものを出した。しかし、それを認 めてしまったということが全ての発端であります けれども、例えば、ユネスコが慰安婦の記録みた いなものを、韓国が言うように「アンネの日記」 と同様に世界の記憶遺産として残すのだというこ とになるようなことがあってはならない。それだ けに、ぜひここは、こうした動きに対してやはり しっかりとしたメッセージを出していただきたい。

今回、当事者の方がこう言われた。そのことに

-3

平成 26年 2月 26日衆議院予算委員会第四分科会速記録(議事速報)

ついて、恐らく世界の方も理解しづらいと思うん ですよ。だって、確証がなくてはっきりとしない のに、では、なぜ謝ったのか、謝ったことが認め たことですよねと。そもそも、なぜ慰安婦という ものがあったと言うんですかと言うと、だって、 謝ったじゃないですか、あったから謝ったんでし ょう、普通、ないことを謝らないでしょうと言わ れると、いやいや、日本人は、ここは俺が頭を下 げて丸くおさまるのなら、俺の頭なんて安いもの だとか、ここは俺の顔を立てて、これで何とか終 わりにしてくれやと言って、日本人型の解決の仕 方というのは我々の日常生活の中であると思うん です。

部下がへまをやって、上司が来て、あの偉い人 が来て頭を下げて、ここはひとつ私の顔に免じて と言ったら、もうわかったわかったとなるんです ね、日本人同士なら。ところが、そうならないと いうところが、外交の冷徹な現実でございます。

いろいろたくさん話をしましたけれども、この 漫画展もそうです、利用されています。ここでま た、いわゆる日本の名誉をおとしめよう、そして 我々が黙っていると、どんどんどんどん、あたか もそれが全て事実のように広められてしまう中で、 例えばユネスコに対してもやはり毅然とした態度 をとっていただいて、実際日本が今わかっている 限りのことはしっかり伝えるべきだと思うんです けれども、大臣、いかがですか

○下村国務大臣これは、ある意味では、日本国 内の常識と外交上の常識というのは相当違うとこ ろがありまして、私も第一次安倍内閣の官房副長 官のときに、従軍慰安婦というのはその後にでき た歴史的用語で、慰安婦そのものを否定している わけではないけれども、しかし、従軍慰安婦につ いては、今、渡辺委員が御指摘のように、石原前 官房副長官を自民党の中でも日本の前途と歴史教 育を考える議員の会でお呼びしてお話を聞いたと き、今国会の話と同じようなことを当時から言わ れておりましたので、それに基づいて、私、当時、 外交記者クラブで発言したことに対して物すごく バッシングを受けたことがございました。同じよ うに、直近では、大阪の橋下市長がこの慰安婦問 題を取り上げて、日本国内もそうでしたけれども、 世界の中からバッシングを受けたという経緯がご ざいます。

ですから、今回の韓国のユネスコ登録について も、外交的に、これはアメリカ等の関係を含めて、 戦略的に捉えていかないと、反論するのは簡単に できることではあるんですが、それが国際世論の 中でどう捉えられて、それが我が国にとって結果 的にどういうふうに有利な展開になりながら、韓 国が登録しようとしていることに対して、世界の 支持が得られるかということをトータル的に判断 しながらやっていかないと、けしからぬ、主張は、 それは間違っている、日本の主張が正しいという ことについて、国際世論をどう味方にするかとい う戦略、戦術を持ってやっていかないと、ただの 反論が逆に我が国に対する批判になることもあり 得ることであるというふうに思います。

ですから、これは、ユネスコ担当は文部科学省 ではございますけれども、極めて政治的な判断も

要することでもあると思いますから、官邸それか ら外務省と相談しながら、結果的に我が国にとっ てマイナスにならないような、しかし一方で、世 界に対して、我が国の主張がいかに正しいかとい うことについて戦略を持った対応をしながら、韓 国に対しては安易な対応をしないということをぜ ひ主張していく必要があるのではないかと思いま す 。

○渡辺(周)分科員ぜひ、そういう意味では、 これはもう、世界の各地にこの像をつくって、い ろいろなところで日本の名誉をおとしめる、その ことについても、我々は言うべきことはしっかり 言って、突きつける事実はしっかり突きつけて、 しっかりとしないと、日本の国というものがどん どんどんどんプロパガンダの中でイメージをつく り上げられてしまうというふうに思うわけです。 そこで伺いたいのですが、このアメリカの像が つくられたことによって、先日も地方議員の方々 が行かれました。その中で、例えばいじめられて いる子供、在外の邦人子弟が日本人学校で登下校 のときにそういうことでいじめられたことがある のかとか、あるいは、中には、パブリックな、公 的な学校へ行っている子供もいるでしょうし、イ ンターナショナルスクールへ行っている方もいる でしょう。そういう中で、例えば、日本の子供た ちがいわれなき理由で何かいじめに遭っていると か迫害されたとか、そういうことはあるのかない のか。その点についていかがですか 。

○下川政府参考人お答え申し上げます。 慰安婦像設置によって現地の在留邦人の子女に -4

平成 26年 2月 26日衆議院予算委員会第四分科会速記録(議事速報)

対するいじめ等があるとすれば、極めてゆゆしき 問題でございますので、到底看過できるものでは ございません。

外務省としましては、在外公館を通じて、現地 の在留邦人とも連携しまして、関連情報の収集に 努めているところでございまして、仮にそうした 事実が確認された場合には、即座に適切な措置を 講じる考えでございます。

他方、現時点においては、在外公館に対する報 告、そういった子女に対するいじめというものは 確認をされておりません。しかしながら、引き続 き情報収集をし、適切に対応していきたいという ふうに考えております

○渡辺(周)分科員これはまた外務委員会でも やりますけれども、こういうことがあって、例え ば、地元のメディアでどんなことが報じられてい るか。特に、カリフォルニアへ行きますと、非常 に力を持っている、発言力を持っているいわゆる 韓国系の住民がいっぱいる。そんな中でどういう ことが例えば運動として起きているのか、どうい うことが報じられているのかということにやはり ぜひ目配りをしていただいて、そのことによって いわれなき非難をされるようなことが、例えばい る子供たちにとってないように、あった場合には 厳重に抗議をする。 そしてまた、もっと言えば、対外政策を、今言 われているこういう問題については、日本の正式 見解はこうですということがやはりわかるような 仕組みを、ぜひホームページ等にしっかりと書い ていただきたい、また英語やフランス語やドイツ

語やスペイン語でいろいろ書いていただきたい、 そのことを、それはまた改めてお願いしたいと思 います。

もう時間がなくなってまいりました。

日本史の必修化について、これはもうぜひやる べきだと私も選挙のときに必ずずっと言ってきま した。

萩生田さんの地元の八王子で私が新聞記者をや っているときに、地元の子供たちと一緒に韓国に 行ったんですね。そのときに、地元の交流事業で 行ったときに、向こうでそういう博物館に行くん です。そうすると、日本の先人たちが韓国の先人 たちにどんなことをしたかといういろいろなお話 を聞くと、子供たちはぼろぼろ泣くんですね。何 てひどいことをしてしまったんだ、日本人の先祖 はと。そんな中で、残念ながら、子供たちはまだ そこまで歴史の勉強が行き渡っていなかったので、 一方的に言われて涙を流した、そういうシーンに 私も立ち会ったことがあります。

ほかの国は自国の歴史というのは必修ですけれ ども、日本の場合は選択で、私は実は、高校の時 に理科系にいたものですから、理科系のコースを とると、選択で、世界史はとったんですが日本史 はとらなくてもよかったんです。なぜかいろいろ 進路変更をしながら新聞記者になってしまって、 そのときに、日本史も勉強していなくて俺は大丈 夫かと思いながら、でもなったんですね。今もこ うしていますが、慌てて、その後、自分も関心が あったから、いろいろな本を読みました。

そういう意味では、日本史の必修、日本人とし

て、まず何が日本の国にあったということを、特 に近現代史を知ること。例えば、昔々の話は、後 で教養で大人になってから関心がある人が勉強し たらいいとは思うんです。だけれども、やはり明 治以降の話というのはしっかりと、今もまさに戦 後の処理のことも含めて出ている。今はこれが政 治問題だ。

どんなに留学生をこれからふやす方針を、私も ユーチューブで大臣たちが踊っている姿も見まし たけれども、そのことはさておき、結果的に、語 学がどんなに上達しても、中身を知らなかったら、 今いっぱいいる留学生たち、中国や韓国の留学生 もアメリカにたくさんいますよ、ヨーロッパにも いるでしょう、彼らの中に入ったときに、やはり 互角に、お互いの近隣国同士が歴史の認識を、あ るときにはディベートもしなきゃいけない。そう いう日本人が外国に行くのならいいんですけれど も、ただ物見遊山だけで、何となく自分探しで海 外留学だけをしても、余り身にならないんじゃな いか。

そういう意味では、日本史の必修化、あわせて 歴史力を向上するということについては、大臣、 ぜひいつかは実現するように働きかけてください。 特に近現代史を、絶対ここを手厚くするというふ うに思うんですが、そこについては大臣のお考え はいかがですか 。

○下村国務大臣おっしゃるとおりです。 ただ、適切な近現代史をきちっと教えてもらう 必要があると思いますので、そのために、昨年暮 れに教科書改定プランを発表いたしました。これ

-5

平成 26年 2月 26日衆議院予算委員会第四分科会速記録(議事速報)

は、新しい教育基本法にのっとって、まず学習指 導要領の中で、近現代史について、歴史教育につ いてきちっとした記述をしてもらいたいというこ とを前提条件として設定させていただきました。

そして、今すぐ変えるべきものとして、これは、 指導書改訂の中で、領土教育、尖閣、竹島問題に ついて、これは小中学校できちっと教えられてい ません。特に尖閣については全く教えられていま せんから、今委員から御指摘がありましたように、 韓国や中国に行っても、日本の子供たちはそれに 対して何の議論もできない。反論どころか、そも そも基礎的な知識がないので議論もできない。こ ういう問題がありますので、これは、中学校では 平成二十七年から、高校では平成二十八年から、 領土教育について明確に記述ができるような改訂 をしたところでございます。

その上で、高等学校の教育課程で日本史を必修 化するということについては、これは次期学習指 導要領改訂の大きな検討課題として問題提起をし ております。

御指摘のように、日本史の必修化というのは、 逆に、これからグローバル化社会の中で、日本人 としてのアイデンティティー、日本の歴史や文化 に対するしっかりとした教養、これを身につけな ければ、世界の中で、英語は、語学は単なるツー ルですから、英語がしゃべれてもそれで真の国際 人になれるわけではありませんので、真の国際人 になるためには、逆に、今まで以上に日本のこと をよく学ぶ必要があると思います。

そのためには、日本の歴史もしっかりと学ぶと

いうことは必要であるというふうに考えておりま して、今後、教育課程全体のあり方の中で検討を 進めてまいりたいと思っております 。

○渡辺(周)分科員もう時間もなくなりました。 最後に一問だけ。 ぜひそのことを、実現を早期にしていただきた いし、早く結論を出していただきたいと思います。 舛添知事がソチから帰られて、東京都民が全員 英語をしゃべれるようにというようなことを彼は おっしゃっていました。もちろん、話すことはい いんですけれども、話せるにこしたことはないん ですが、ただ、やはり中身についても、本当に日 本のことを話ができるような日本人がどんどんふ えるべきだと私も自戒を込めて申し上げていると ころでございます。

さて、最後に、我が党の小川議員も先ほど、午 後に質問したみたいですが、ジャンプの葛西選手 が、メダルをとったらビジネスで帰らせてくれと いうのを聞いてびっくりしたんですね。これはど うなっているんですか。行く方々が、選手が、ま あ帰りはチャーター便で帰ってきて、もちろん早 くに帰ってこられた方もいるけれども、あれを聞 いたら、JOCの方に国からエコノミーの補助が 出ていると言うんですよ。

でも、私、これから戦おうという人に対して、 やはりエコノミーで行くというのは、これはどう なんだろう。随行の方がビジネスクラスで行って、 肝心の戦う人はエコノミーで乗るというのは、こ れはどうなのかな。これぐらいのところは、ほか を削ってでもふやしてあげるべきだと思います。

それで、最大限の環境の中でできるようにするべ きだと思います。

それからもう一つ。これは、今さら森さんのこ とをあれこれ言うつもりはないです。きのう、浅 田真央さんが一言、外国特派員協会で言うのを聞 いて、よく思います。これは、もし御感想があれ ばと思いますが、頑張って戦った人、浅田さんが、 やはり自分だって失敗したくて失敗したわけじゃ ない、最大限のことをやった結果、そうなってし まったと。

その中で、戦っていない人が、あの銀盤の上で 戦った人たちに対して後から言うのは簡単ですよ、 ああすればよかった、こうすればよかったと。だ から、やはり戦ったアスリートに対しては、戦わ ないでいた人が後から茶化すべきじゃないだろう、 そんなふうに思います。そういう意味では、これ からトップアスリートをつくるような御努力もぜ ひしていただきたいと思います。

もし最後に何か御意見がありましたら、このオ リンピックを終えて、何か思いがありましたら、 一言聞いて、終わりにします 。

○萩生田主査下村文部科学大臣、時間ですので、 簡潔にお願いします 。 ○下村国務大臣まずはエコノミーの件ですけれ ども、国からJOCの補助において、エコノミー 単価としておりまして、JOCのみならず、他の 団体補助についても同様であり、これをビジネス クラス単価とすることについては、財政的には難 しい部分があります。 競技団体、選手に負担を求めず、JOCが三分

-6

平成 26年 2月 26日衆議院予算委員会第四分科会速記録(議事速報)

の一を負担しているという状況があります。競技 団体や選手が負担せざるを得ない状況となってい るというような状況について、これからどう考え るかということがあります。

現在、JOC等から強化費等の自己負担の軽減 を求められているところでありまして、我が国の トップアスリートが存分に活躍することができる よう、常によりよい方策を目指して検討しながら、 国としても必要な支援を行ってまいりたいと思い ます。

森組織会長の発言については、浅田真央選手が 適切な発言をされたのではないかと思います 。

○渡辺(周)分科員終わります ○萩生田主査これにて渡辺周君の質疑は終了い たしました。 -7