「大胆な内需拡大を」国民民主党副代表渡辺周衆議院議員

ⒸJapan In-depth編集部

細川珠生(政治ジャーナリスト)

【まとめ】

・低利融資のレベルではなく、現金給付すべき。

・高速道路料金等の公共料金や、様々な入場料等を0または半額に。

・内需拡大で消費を賄うという方策に変えていくべき。

今週は衆議院議員で国民民主党副代表の渡辺周氏に、新型コロナウイルスの感染拡大、それに伴う経済の打撃と対策について、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。

新型コロナウイルス感染の拡大で、急速に経済活動が停滞し、需要の収縮が進んでいる。株価も急落しており、景気の先行きに暗雲が立ちこめている。こうした状況を打破するためにどのような経済対策が必要なのか、細川氏が聞いた。

これに対して渡辺氏は、「まず損害が出ている人達に対してのケアが必要だ。低利融資のレベルではなく、直接お金を渡す。損失について国がある程度保証できるので心配しないでください、といって、マインドを温めることが必要だ」と述べた。

その上で、緊急対策として、高速道路料金等の公共料金や、さまざまな入場料や入館料などを思い切ってゼロまたは半額にするなどの策を取るべきだと考えを示した。

「国民生活の負担となっているものを大胆に軽減する策を政府はどんどん打ち出すべきだ」

それに対して細川氏は、国民や企業ができることは何か、聞いた。

渡辺氏は、日本経済がインバウンドに頼りすぎてきた面を批判した上で、「そうでないところもある。私の地元の静岡県熱海市などは、ほとんど影響がない。インバウンドよりも、日本の若い人たちに来てもらえるような街づくりをして、彼らが街並みを整えたり、新しい店舗作りにチャレンジしたりしている」と述べ、インバウンド頼みではなく、内需掘り起こしが重要だとの考えを示した。

また、「まだマーケットとして参加してない人達に関心を持ってもらうような内需の拡大をベースにしていくほうがいいのではないか。」と述べ、インバウンドはあくまで上乗せであり、基本は内需拡大だとの考えを強調した。

その背景として渡辺氏は、かつて民主党政権の時に、尖閣諸島を国有化したが、その時中国は一斉に訪日観光客を止める方針を出したことがあったことを挙げた。

「中国は国家方針でそういうことをやる。どこか一国に頼っていると大変なことになる。インバウンドバブルを見直す契機になったのではないだろうか」と述べた。

しかし、インバウンド需要を当てにして、既に店舗や宿泊施設の拡充をしてしまった人たちの投資の分はもう返ってこない。急激な訪日外国人観光客の減少で、そうした事業者は倒産の危機に瀕している。どのような緊急対策が考え得るのか細川氏が聞いた。

渡辺氏は、「かつて復興割という、被災地に観光客ができるだけ行くように取り組んだ例もある。できるだけ国内でお互いの消費を賄うという方策に変えていくべきだ」と述べ、大胆な景気浮揚策の必要性を強調した。

細川氏は、「JRは外国人向けに安いチケットがあるが、日本人向けにはない。中学生以上になると大人料金になって、中高生の子供がいる家庭などは旅行に行くのが大変だ。そういうところに目が行き届いていなかった」と述べ、日本企業の内需拡大に向けての姿勢に疑問を呈した。

それに対し渡辺氏は、「人生100年時代。お年寄りが元気で、せっかく色々行きたいところがあっても、年に1度程度にとどまってしまう。それを2度、3度と行けるように、公共料金を少し安くして消費できるようにして欲しい」と述べ、国内の移動にかかる交通料金の高止まりにメスを入れるべきだとの考えを示した。

ⒸJapan In-depth編集部

細川氏は、「投資をすべき成長戦略の分野はどこか?」と聞いた。

渡辺氏は、消費者が財布のひもを締めているのは、昨年話題になったいわゆる2000万円問題がある、とした上で、「余裕のある、生きがいのある人生にする為に、年金制度など、シニア世代に対して安心を与えることが必要だ。」と述べ、社会保障制度の改革が不可欠だとの考えを示した。

また、地方から東京の学校に来た若い人たちが、東京で暮らすのに相当お金がかかる問題を例に挙げ、「人生の基礎を作ある大事な時に、お金のことを心配しなくてもいいような政策の拡充が求められている」と述べ、給付型の奨学金など、学費で困っている学生には財政的支援を行うことが必要だとの考えを示した。

細川氏は、「1日も早く日常生活に戻りたいのが多くの国民の願い。それにはやはり感染拡大を防止することと、なるべく早く収束するための最善の策を政府にも取ってもらいたい」とまとめた。