朝のリモート勉強会から始まり、外務委員会で40分質問、党の定例会見など。
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
a – 1 –
○あべ委員長 次に、渡辺周君。
○渡辺(周)委員 引き続きまして、立憲民主党
の渡辺でございます。引き続き質問をさせていた
だきます。
先ほど与党の委員からも触れられましたけれど
も、ミャンマーの情勢につきましてお尋ねをした
いと思います。
昨日、マスコミ報道で、これはメディアの言い
方ですけれども、ロヒンギャに対して二十億円、
千九百万ドルの、クーデター後初、緊急無償資金
協力をするということが報道をされました。
これは、あくまでもロヒンギャという言葉はメ
ディアが使った言葉でございまして、例えば、外
務省のホームページなどでは、バングラデシュに
流出した避難民というような、あるいは、昨年十
月の二十三日、外務省のホームページで紹介され
ておりますけれども、國場外務大臣政務官の挨拶
の場合は、ラカイン州からの避難民というような
書かれ方がしております。
日本政府は、この人道支援で、国際機関を通じ
て、赤十字やワールド・フード・プラン、世界食
糧機関など国際機関を通じて支援をすると。これ
までも、実は日本は、外務省のホームページを見
ますと、ODAのところで出てきます。日本は、
このロヒンギャを対象にということでよろしいで
すか。ロヒンギャという言葉は日本政府の言葉か
らは出てこないんですけれども、その点について
は、大臣、いかがですか。ロヒンギャという言葉
は、何か使うと都合が悪い事情があるんでしょう
か。その点について、いかがですか。
○小林政府参考人 お答えいたします。
ただいまの議員の御質問につきましては、事前
の質問通告をいただいていないというふうに存じ
ますけれども、ロヒンギャという言葉につきまし
ては、それを使う人あるいは聞く人の側でいろい
ろな解釈が……(渡辺(周)委員「済みません、
ちょっと近づいて、話がちょっと聞こえにくいの
で、マスクなもので、済みませんね」と呼ぶ)申
し訳ございません。
委員の御指摘の質問につきましては、事前に通
告をいただいていなかったというふうに存じます
けれども、ロヒンギャという言葉につきましては、
それを使う人あるいはそれを聞く人の側でいろい
ろな解釈を残すものであるというふうに認識をし
ておりまして、そういう観点からラカインという
言葉を使っているということでございます。
○渡辺(周)委員 これはミャンマーの国内法で、
ロヒンギャという民族は、ミャンマーのビルマ時
代に作られた法律だったかという私の認識であり
ますけれども、ロヒンギャという民族は、ミャン
マーの国家を構成する民族としては名前がたしか
ないんですよね。
ですから、ただ、一般的には、世界的にも、あ
るいはメディアもロヒンギャ支援ということにな
っているんですが、日本としてはこれは使わない
ということでよろしいんですか。いかがですか。
○茂木国務大臣 いずれにしても、人道支援であ
ります。避難民であったりとか困窮している方々
の避難でありまして、日本として一般的に、どの
地域において、こういう形でありまして、少数民
族も含めて、この民族を支援するという言い方は
少ない、このように理解いたしております。
○渡辺(周)委員 これは、アムネスティ・イン
ターナショナルやあるいは西側各国も、ロヒンギ
ャということについて、支援について、つまりミ
ャンマーの国軍に対する、迫害でありますとか、
あるいは右派仏教徒による迫害があって、そこに
はロヒンギャという言葉がもう出てくるんですね。
日本がそのロヒンギャという言葉を使わないのは、
今のミャンマー政府に対する何らかの配慮、配慮
と言うと聞こえはいいんですけれども、何かしら
の忖度があるのかなというふうに思わざるを得な
いんですけれども、どうして日本だけがこの言葉
を避けて通るのかということを私は問うておるわ
けなんです。
もちろん、それ以外にもいろいろな民族があり
まして、カチン族だとかなんとかといろいろ難し
い名前の方々、私もミャンマーに行ったことがあ
りますから分かります、お土産にいただいた小さ
この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行
されるまでの間、審議の参考に供するための未
定稿版で、一般への公開用ではありません。
後刻速記録を調査して処置することとされた発
言、理事会で協議することとされた発言等は、原
発言のまま掲載しています。
今後、訂正、削除が行われる場合がありますの
で、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と
受け取られることのないようお願いいたします。
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
a – 2 –
なマスコットの木の人形には、ミャンマーを構成
するいろいろな、国の民族が民族衣装を着て一つ
のボードになったものをお土産にいただいたこと
があります。
それだけに、ミャンマーの今のこの問題につい
て、やはりアムネスティにしても、西側の各国が
ロヒンギャに対する迫害について、このクーデタ
ーが起きたことによって、再びバングラデシュに
逃げている方々もいらっしゃいます。しかし、ま
だ国内にとどまっている方々もいる。この人たち
に対する迫害が更に過熱するのではないかという
ことで、大変懸念される報道も出ているんです。
この点については、やはり問題の本質が分から
なくならないように、私は、しっかりとその呼称
についても是非検討して統一をしていただきたい。
この呼称についてもう一つ伺いたいのですけれ
ども、昨日の報道によりますと、日本政府は丸山
大使が面会をしました。外相としてワナ・マウン
・ルウィン氏、この人を外務大臣として呼ぶとい
うことを日本政府は決めたということなんですが、
それでよろしいですか、事実確認。
○小林政府参考人 重ねて恐縮でございますが、
ただいまの点につきましても、事前に質問の通告
をいただいていないというふうに承知をしており
ますが、その上で、一昨日、丸山大使がワナ・マ
ウン・ルウィン大臣にお会いした……(渡辺(周
)委員「済みません、もうちょっと前に」と呼ぶ
)申し訳ありません。
○茂木国務大臣 今、ミャンマーにおきましては
国家安全評議会、これが構成されておりまして、
その評議会においては今のワナ・マウン・ルウィ
ン氏が外務大臣に指名されているということであ
ります。
我々としては、今の評議会そのものが正当であ
るかどうか、こういう評価はいたしておりません。
ただ、カウンターパートといいますか、ある意味、
今のミャンマーの実際に治安等々を担っている責
任者の一人である、このように考えておりまして、
日本政府として直接にそういった人間に働きかけ
をする、このことは重要だと思っております。
○渡辺(周)委員 最初に申し上げますけれども、
私はあなたらにミャンマー情勢については質問し
ますというところを要旨で送っていますから、私
の間違いがなければ。しかも、そもそも、外務省
がそう決めたと報道されていることを、通告がな
いから答えられませんなんというばかげた答えを
してもらっちゃ困るわけです。
こんなものは、あなた方の所管で、もう既に報
道もされているわけですから、そんなことは聞か
れるだろうという想像力の下に、ある程度、回答
はどこからでも引き出しを開けて答えられるよう
にしておいていただかないと、そんな一々、こち
らもつまびらかに全ての質問を事前に通告するわ
けじゃありません。だけれども、ミャンマー情勢
だったら、この辺はもう既に報道されているベー
スのことだから聞かれるだろうということは分か
らなきゃおかしいんですよ。そのことについて、
あえてひとつ苦言を呈しておきたいと思います。
それで、分かりました、その呼称として、呼称
をいじる必要性があるということ。
これは報道によりますと、丸山大使がお会いを
された。報道されているのは、日本は、アウン・
サン・スー・チー氏率いる組織にも、この今回の
最高司令官に対しても、両方ともパイプがあるか
ら日本独自のアプローチをしているのだというよ
うなことが報道されているわけなんですけれども、
この丸山大使が、先ほど申し上げたロヒンギャの
方に対して、昨年、ロヒンギャの方々のことをベ
ンガル人であるというような発言をして、在留ミ
ャンマー人もそうでありますけれども、国際社会
からも、その言い方はないだろうと。
元々この人たちは、歴史的にも民族としてしっ
かりと議会にも代表を送り出して、独自のコミュ
ニティーを持ってきた方々。それが何か、あたか
もその国には存在していなかったかのような物言
いをされてきたということが、そもそも迫害の背
景にもあるんです。
それに対して、非常に親日的なミャンマーの国
の方々。言うまでもありませんけれども、戦後補
償をいち早く返上して求めなかった国でもあり、
様々な、私も、皆さん方もそうだと思います、ミ
ャンマーに行けば、やはり、日本に対する親和性
が大変強い国であります。国民の人柄というのも
大変おとなしい国民性でありまして、だからこそ、
ビジネスチャンスについても、日本が、民政移管
後にたくさんの日本企業が進出をしている。そし
て、ここにある、ミャンマーにあります日本人学
校は、世界で二番目にできた、世界で二番目に古
い日本人学校なんですね、一九六四年、ですから、
昭和三十九年にヤンゴン日本人学校ができたわけ
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
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でございます。それぐらい歴史の関わりは古いと
ころ。
それがゆえに、今、この国にもたくさんのミャ
ンマーの留学生や、あるいはビジネスチャンスを
求めて来る方々、普通にコロナ前、たくさん見受
けられました。非常におとなしい方々で、本当に、
そういう意味では日本人と非常にハーモナイズで
きる方々だろうというふうに思っているわけなん
です。
ちょっと話はそれましたけれども、そこで、先
ほど来、制裁はしていないけれども、当然、事態
の進展によっては今後どうするかという、日本政
府としてはODAに対する支援というものも考え
なきゃいけないんだという答弁がありました。
ただ、私どもは、日本政府は使わないけれども
ロヒンギャの方々、バングラデシュの難民キャン
プに逃げている方々、半数が子供であります。こ
の人たちが、やはり非常に凄惨な目に遭ってきた、
残酷な目に遭ってきた。だから、簡単に国に戻れ
と言うけれども、もう、その忌まわしい過去を思
い出すからその土地には戻りたくないという人た
ちが実は多いというのは、いっぱいNGOや様々
なジャーナリストがこのことについて触れており
ます。
今ここで起きている中で、このクーデターに対
して、実は、経済的抵抗をしようということで、
ヤンゴンにいる方々はもちろんなんですけれども、
例えば、先ほどもどなたか紹介されました公務員
ですとか税務署の職員とか、いろいろな職種の方
々が、ある意味では仕事をボイコットされて抵抗
している。中には、国民が選択した体制ではない
んだと、今の体制、軍事政権がですね、市民が、
納税や、あるいは国軍系の製品の購入拒否の動き
が広がっている。
国軍系の製品というのは、ミャンマー・エコノ
ミック・ホールディングスという、金融とか農業
とか鉱山採掘とかいろいろなものを幅広く押さえ
ている複合企業なんですけれども、例えば、ここ
と取引のある企業に対して、ビール会社のキリン
は取引を見合わせるというようなことを先般発表
されました。
個々人でいえば、社員が個人所得税を払わない、
つまり、税金を払うと軍の資金になるだけだから
それはしないで欲しいというようなことで、日系
企業の社員も日系企業に対して、個人所得税を払
わないでくれというようなことを、声が上がって
いる、これは日経新聞でおととい紹介されていま
した。
今現在、多くの日本企業は、日系企業は対応を
保留しているということなんですけれども、その
点について、日本政府は現状を認識していますで
しょうか。
○茂木国務大臣 まず、先ほど来、ミャンマーの
少数民族の問題がありました。これはミャンマー
だけではなくていろいろな国で、様々な民族、こ
れから構成をされるという中で、少数民族を含め
て、その権利等がしっかりと代表される、こうい
ったことは極めて重要だと思っております。そう
いった中で、日本として民主化等々のプロセスを
支援していく。
ただ、民族、これを強調することが正しいかど
うかというのは、例えば一九九四年のルワンダの
問題を見ても、ツチ族とフツ族、こういう対立を
どちらかというと欧米があおることによって、あ
れだけの惨事、当時の人口でいいますと九百万で
したけれども、その中で百万人が亡くなる、そう
いう事件も起きたわけでありまして、その扱いに
ついては慎重な対応が必要だ、私はそんなふうに
思っております。
そういった中で、それぞれの民間企業が現在の
状態を考えてどういう経営判断をされるか、それ
はまさに企業の判断ということでありまして、企
業も今後は、単に営業活動ではなくて社会的責任、
こういったものも考えながら判断をしていくんだ
ろうと思っております。
一方では、政府の立場としては、単純に支援な
のか制裁なのか、こういう問題よりも、まず、い
かにしてこの深刻な状況を鎮静化させて収め、そ
して、ミャンマーを再び民主化のプロセスにどう
やってのせていったらいいんだ、このことは欧米
もそうだと思います、それから日本もそうです、
ASEAN諸国も。それぞれにどういう働きかけ、
どういうやり方が適切で効果的なのか、こんなこ
とを考えながら検討していくということになると
思います。
○渡辺(周)委員 ミャンマーの会計年度は、以
前は日本と同じで四月一日から三月までだったん
ですが、今、十月から九月三十日までに変わって
いるんですね。ですから、会計年度的に言うと、
その納税を今どうするかということは、直ちにど
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
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うということではないんだと私は思います。
私がお尋ねしたのは、ミャンマーの国民の中に
は、結局、税金を払うとその税が国軍のいわゆる
資金源になるから今経済的抵抗をする、いわゆる
非暴力ではありますが、町に出て、街頭でデモ行
動をする方々もいれば、納税をしないという形で
政府に対してダメージを与えようという、今の政
府というか、クーデターの暫定政権に対してです
ね。
それに対して、日本企業で働く人たちが、自分
の税金は納めないでくれというようなことがあっ
て、日本企業はそれを、今、対応については保留
しているというような報道があったので、それに
対して、それは、今の大臣の答弁ですと、社会的
責任をそれぞれで考えてくれと言いますが、それ
ならば、日本政府は、今のミャンマーのクーデタ
ーの政権は正当な政権だというふうに認めている
のか認めていないのか、もうそこのところがはっ
きりしないと、いわゆる納税拒否という形の動き
が、企業に任されても困ると思う。そこに対して
どういう指針をお持ちなのかということを聞いて
いるんですから、そこは、大臣、もう一回お答え
いただけますでしょうか。
○茂木国務大臣 今、新しい、例えば、政権が正
式に発足した、そのようには考えておりません。
一方で、この事態を収束させるためには、今の
国軍等に対して働きかけをしていくということは
必要だ、このように考えております。
○渡辺(周)委員 それを、では聞き方を変えま
すけれども、日本政府として、丸山大使が在ミャ
ンマーの企業等に対してそういう形で一定の指針
を何らかで伝えるべきで、それはやっていますか。
そうしないと、個々の企業が社会的責任を果たし
てくれということを言われても、実際、社員から
納税をしたくないんだという板挟みに遭っている
方々に対してどう答えていいか分からない中で、
そこの対応については、日本政府がやはり一定の
方向性を示すべきだと私は言っているんですけれ
ども、いかがですか。
○茂木国務大臣 恐らく、事態が今動いておりま
す。どういった形で収束をさせていくか、これを
考えなきゃならないときに、すぐに全てのことに
ついて今日答えを出すというのは、私は外交的に
は無理だと思います。先生にそのような見識があ
るんだったら、私よりも優れた能力をお持ちなん
だと思います。
○渡辺(周)委員 もちろん、外交の状況につい
て、私どもが、じゃ、ひょっとしたら明日、何ら
かの形で、今の政権が何らかのステートメントを
出して収束に向かうかもしれない、それは否定で
きません。
ただ、もう一年間の非常事態宣言を出している
わけですから、最長で、これは一年間ですから、
あと十一か月ぐらい、今四十日ぐらいクーデター
からたちます。ですから、十一か月以上続く可能
性もあるわけですね。それはどちらもあり得る話
ですけれども。
実際、今ミャンマーのクーデターをめぐって、
日本政府の立ち位置というのが、独自の解決をす
ると言いながらも、現実、解決がいつになるのか
分からない。現実の、今の状況の中で最善の判断
をしなければいけない。しかし、国際社会から見
れば、解決をしてくれればいいんだけれども、日
本だけが何か、はっきり言って、ミャンマーに対
しては少しはっきりしない態度なのではないかと
いうような言われ方もあるわけでございます。
この問題をやると、もう二十分たっていますか
ら、ちょっとそろそろこれは区切りにしますよ。
でも、そこは是非やってください……(茂木国務
大臣「いや、それはないと思うから」と呼ぶ)い
や、だけれども、それは……(茂木国務大臣「国
際社会、聞いているから」と呼ぶ)はい。
じゃ、そこは、この話はまた、今回だけじゃな
くてやりますけれども、ただ、このクーデターが
起きたことによっていろいろな新しい問題が噴出
しているわけですから。そこをちょっと最後、答
えてください。
○茂木国務大臣 私も、米国、英国、そして豪州、
さらにはASEANのリーダー格でありますイン
ドネシア、ブルネイ、さらにはタイ、それぞれの
カウンターパートと話をしております。率直な意
見交換ができる仲です。初めて会う人というのは
いませんから。そういった中で、どう考えても、
日本の対応が遅れている、こういった声はないと
思います。決してそんなことはないと思いますし、
例えば、丸山大使にしても、少なくとも、今、こ
の暴動に対して治安当局をどう抑えていくかとい
うことについては、国軍関係者であったりとか、
今の体制に働きかけるしかないんです。
では、アウン・サン・スー・チー最高顧問、今、
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
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拘束をされて、早期解放を求めておりますけれど
も、残念ながら、それが政府として今機能してい
るかというと、正しい、間違っているは別にして、
機能していないのも現在の状況でありますから、
そこの中で、どの政府をどう認めて、何という判
断をどこかの国がしているかというと、していな
いと思いますよ。決して、日本の対応が遅れてい
る、こういう評価では私はない、このように思っ
ております。
○渡辺(周)委員 ちょっと、また事態の進展を
見ながら、改めてこの問題、是非やりたいと思い
ます。
何で私がこの問題に熱くなったかというと、私
の死んだおやじというのがビルマの建国運動に関
わったことがございます。アウン・サン・スー・
チーさんが子供だった頃に、うちのおやじはアウ
ン・サン将軍とスー・チーさんと同じところに住
んでいたという、実はちょっと歴史的な関わりが
あるものですから、少しこの問題については私も
熱くなったところがあります。ちょっとこのこと
は、ですから、その思い出でまた改めてちょっと
やりたいと思う。
ほかの質問でちょっと、させていただきます。
いろいろ伺いたいことがあるんですけれども、時
間の関係で一点。
先般、二月の二十六日に、中国が台湾のパイン
の輸入停止を発表しました。害虫検出を、害虫が
出たということで、口実にした経済制裁ではない
かと台湾の世論が沸騰しました。毎年平均四万ト
ンある対中輸出、これは台湾の栽培量のおよそ一
割です。九割が国内消費。蔡英文総統は、九九・
七九%が品質検査で合格した、にもかかわらずと
いうことで、行政院ですね、内閣が促進PRを行
いました。
三・一一、明日で十年になりますが、この三・
一一のときに台湾が夜通し国民に支援を呼びかけ
て、そのお礼をしよう、その恩返しの意味もあっ
て、いろいろなところで、私も、ネットに書いた
ところ五百以上の数の反応がありましたけれども、
本来、中国に輸出する分の史上最高額、史上最高
の量の日本へのパイナップルの輸出が決まったと
いうことになりました。
しかし、これは、台湾と日本、もう非常に隣人
として、私はあえて隣国と言いますけれども、隣
国として大変いい関係にはあるんですが、ただ、
一つ、明日で十年になるこの震災の影響で、台湾
は、そうはいいながらも、福島、茨城、栃木、群
馬、千葉、アルコールを除く全ての食品が輸入停
止となっています。二〇一五年の五月から、台湾
政府は強化をしますと。例えば、産地証明書に加
えて放射性物質の検査報告書も添付するようにと
いうことで要求がされております。
非常に日本と台湾、友好的に、本当にいい関係
ではありますけれども、台湾のこの五県に対する
全ての食品の輸入停止、あるいは、私ども静岡県
ですと、静岡県も含め、東京、愛知、静岡県と大
阪、茶類産品、お茶に関係するものは、先ほど申
し上げましたように、産地証明書に加えて放射性
物質の検査報告書が要求されておる。
決して台湾産パインの支援の見返りではないん
ですが、私たちは見返りを求めない支援というも
のがやはり日本の美徳だとは思いますけれども、
さはさりながら、ただ、今も、十年たって、友好
的間柄にある、最も親和性の高い台湾においても
いまだ、まだこうした輸入規制が続いております。
この点について、十年を契機にして、やはり日
本としてこの輸入規制の解除というものを実現す
べきだと思いますけれども、外務省としていかが
お考えでしょうか。
○石月政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の日本産食品に対する輸入規制の撤
廃、これは政府の重要課題でございます。総理及
び茂木大臣からも、あらゆる機会を捉え、関係国
・地域に対し、日本の食の安全性確保の取組につ
き説明し、規制撤廃に向けて働きかけてきました。
こうした働きかけの結果、昨年はフィリピン、モ
ロッコ、エジプト、UAE及びレバノンが、本年
一月にはイスラエルが規制を撤廃しました。規制
を導入した五十四か国・地域のうち、現在までに
三十九か国・地域で規制撤廃が実現されておりま
す。
御指摘の台湾につきましては、福島県等五県産
食品に対する輸入停止、また先ほどございました
茶類製品を含むその他一部の食品に対する放射性
物質検査証明の添付要求等の措置が継続している
ものと承知しております。
台湾側に対しましては、日本台湾交流協会を通
じまして、食品の安全性等に関する各種の情報を
提供しております。科学的根拠に基づく早期の規
制撤廃を働きかけてきているところでございます。
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
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台湾の方々が日本産食品の安全性について理解
し、規制の早期撤廃につながるよう、今後も日本
台湾交流協会を通じ、あらゆる機会を捉えまして
粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。
○渡辺(周)委員 その台湾の交流協会が、大使
館に当たる日台協会がパイナップルのことについ
ても支援をしているのはフェイスブック等で出し
ていますね。台湾産のパイナップルを日本でもど
うぞというような応援をして、それに対してたく
さんの感謝の声が寄せられているとさっき申し上
げました。
だからこうだという、別に見返りを求めるわけ
ではないんだけれども、ここまでのことも含めて、
十年ですから、せめて台湾は、ほかにも韓国とか
中国とか香港とかマカオとか、あと五つの国が輸
入規制をかけていることは百も承知でございます。
それで、先ほどお話あったような統計は私も持っ
ていますから、どこの国が段階的に輸入規制を解
除したかということもよく承知しております。
ですけれども、台湾が、意外なのがなぜ台湾が
ということなので、是非このことについては、十
年という節目ですから、もう科学的な根拠につい
ても何度も説明をしているはずなんです。実際に、
台湾の厚生省に当たる部署ではとっくに緩和する
ようなことも言っていたんだけれども、結果的に
はこのことについてその後ちょっとなし崩しにな
っているということなので、是非この点について
は更なる働きかけを続けていただきたいと思いま
す。
ちょっともう時間がなくなりました。
大臣に伺いたいんですけれども、来週十六日に
2プラス2が、ブリンケンさんとオースティンさ
んと2プラス2が東京で行われるという報道があ
ります。今朝の日経新聞ですと、尖閣問題につい
て中国を名指しで取り上げるんだというような報
道がありましたけれども、もう既に共同文書の中
身は固まっているということでよろしいですか。
○茂木国務大臣 主要外交日程については決まっ
た時点で速やかに発表いたします。また、議論し
た内容の概要につきましては、会談後発表すると
いうことになると思います。
その上で、仮に、バイデン政権発足後のこの早
いタイミングで、日米外相会談であったりとか2
プラス2において、強固な日米同盟を再確認し、
現下の厳しい安全保障環境や様々な課題を抱えて
いる地域情勢、国際情勢について議論する機会を
得ることができれば大変有意義だと考えておりま
す。
○渡辺(周)委員 バイデン大統領、副大統領時
代に、オバマ政権が正直、中国に対して対応が後
手に回った。それは、パリ協定に中国を何とか協
力させるために、やや海洋政策について目をつぶ
ったのではないかというようなことがその後指摘
されました。例えば、尖閣における領空について、
中国が一方的にあのときにADIZを設定をしま
した。その後、三日後にアメリカが戦略爆撃機を
飛ばしてというような若干動きはあったんですけ
れども、結果として、航行証明を出せという中国
の言い方に対して、結果的にその後ノーアンサー
であったというようなことが実はございます。
ある意味では、オバマ政権のときの共同責任者
である副大統領が今度大統領として就任をされ、
特に2プラス2で日本に来る。この尖閣の問題に
ついても相当踏み込んだ話をしていくべきだろう
というふうに思います。
そこで、最後にちょっと二つ聞きたいんですけ
れども、バイデン政権が三月三日に発表した暫定
戦略指針、本格的な国家安全保障政策までの当面
のつなぎですけれども、北朝鮮の非核化について
は文言がなかった。核、弾道ミサイル脅威の低減
という言葉にとどまって、保有を前提とした、も
う保有を容認したのではないかという見方もあり
ます。このバイデン政権の朝鮮半島非核化につい
てのスタンス、これを日本の外務省としてはどう
見ているかということが一点。
それから、北朝鮮については、やはり、これは
日米韓のオンライン局長会議でも、米朝二国間交
渉の継続を要請した、やはり多国間交渉よりも米
朝二国間で交渉することが有意義である、あるい
は北朝鮮に最も効果的であるということでありま
した。その点について、四月にも菅総理大臣が訪
米するのではないかというような観測記事もあり
ましたけれども、まずは2プラス2の中で、北朝
鮮の非核化についてはやはり二国間交渉、アメリ
カがやはり前面に出るべきであるということ、そ
れから、拉致問題について、バイデン政権が、新
政権がどこまで拉致問題を認識しているのかと。
もう御存じのとおり、被害者家族が次々に、横
田滋さんを始めとして昨年お亡くなりになりまし
た。もう皆さん御高齢でいらっしゃいます。横田
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
a – 7 –
早紀江さんも八十五歳。先般、報道でも見ました
けれども、なかなか全国でかつてのように講演し
て回るような体力も今は厳しいんだというような
ことを心情を吐露していらっしゃいました。
やはり、北朝鮮の拉致問題についても是非2プ
ラス2。核と同様に、アメリカから、そこは我々
も、もちろん日本が第一義的にやるんだけれども、
バイデン政権に対しても、決して融和的な政策を
取るのではなく、北朝鮮の拉致問題については早
期解決のために一肌脱いでくれということを是非
2プラス2の席でお伝えいただきたいわけですが、
大臣、いかがですか。
○茂木国務大臣 2プラス2について、今の時点
でいつやる、実施する、こういうことについて申
し上げられませんが、対北朝鮮については、日本
として日朝プロセス、支持をしております。
同時に、拉致問題、拉致、核、ミサイルと包括
的に問題を解決していきますが、拉致問題につい
ては日本が主体的に取り組む問題であると考えて
おりまして、菅政権としても最重要課題と考えて
おります。
日米間でもこの問題については議論をしており
まして、拉致問題、御家族の皆さんも高齢となる
中、早期の解決が必要だと日本からも訴えかけ、
アメリカからも拉致問題の改善について全面的な
支持を得ているところであります。
○渡辺(周)委員 是非、このアメリカ新政権が
人権、人道を標榜するのであれば、まさにこの北
朝鮮拉致問題について、先ほどのどなたかもおっ
しゃいましたウイグルのまさに問題も含めてです
けれども、北朝鮮における日本人拉致問題、この
問題は是非同格にアメリカに認識を持っていただ
いて、同等の重みを持って新政権が北朝鮮に対し
て働きかけをすることを願うばかりであります。
今の北朝鮮の状況というのは、御存じのとおり、
新型コロナウイルスの発生から、中国との国境を
封鎖しました。中国側の発表によりますと、中朝
貿易の総額というのは八割も減ってしまっていま
す。そして、さらには、これまでの経済制裁と度
重なる豪雨災害で、もう既に、食料の摂取が不足
する住民の割合というのは六三%になる。非常に
北朝鮮は今弱っています。
ですから、私は何らかの形で交渉を持ちかける
メッセージだと思います。是非その点について、
力強く、日本政府、できれば本当に総理が、ある
いは外務大臣がユーチューブにでもアップして、
北朝鮮に直接メッセージを投げかけるような、そ
れぐらいのことをしてはいかがかと思いますけれ
ども。
なぜ私はここで言うかというと、拉致の委員会
が開かれないんですよ、一昨年から。ずっと言っ
ているけれども開かないので、なかなか拉致問題
を外務大臣に質問する機会がないものですから、
是非そのことを訴えたいと思います。
また、どうです、そのぐらいの覚悟を持って、
是非主体的にやっていただけませんか。いかがで
すか。
○茂木国務大臣 拉致問題、バイデン政権も、人
権政策含めて極めて重視をしていると思っており
ます。
そして、先ほど申し上げたように、この問題は
日本が主体的に取り組む問題だと考えておりまし
て、時間はない、そういった中で、あらゆるチャ
ンスを逃すことなく取り組んでいきたいと思って
おります。
○渡辺(周)委員 いや、主体的に取り組む問題
であることは当たり前です。ただ、国会のこのせ
っかくつくった委員会においても開かれないわけ
で、それは北朝鮮に間違ったメッセージとして、
日本の国会では全然議論していないじゃないかと
いうことに、北朝鮮だって、当然、間違ったメッ
セージになりかねないわけです。北朝鮮は当然こ
の動きを注視しています、そのことを。
だからこそ、是非とも外務大臣には、この2プ
ラス2の場を通して、あるいは、日本の外交の責
任者として主体的に取り組んでいただきたい。最
後にお願い申し上げまして、私の質問を終わりま
す。
ありがとうございました。
a – 1 –
○あべ委員長 次に、渡辺周君。
○渡辺(周)委員 引き続きまして、立憲民主党
の渡辺でございます。引き続き質問をさせていた
だきます。
先ほど与党の委員からも触れられましたけれど
も、ミャンマーの情勢につきましてお尋ねをした
いと思います。
昨日、マスコミ報道で、これはメディアの言い
方ですけれども、ロヒンギャに対して二十億円、
千九百万ドルの、クーデター後初、緊急無償資金
協力をするということが報道をされました。
これは、あくまでもロヒンギャという言葉はメ
ディアが使った言葉でございまして、例えば、外
務省のホームページなどでは、バングラデシュに
流出した避難民というような、あるいは、昨年十
月の二十三日、外務省のホームページで紹介され
ておりますけれども、國場外務大臣政務官の挨拶
の場合は、ラカイン州からの避難民というような
書かれ方がしております。
日本政府は、この人道支援で、国際機関を通じ
て、赤十字やワールド・フード・プラン、世界食
糧機関など国際機関を通じて支援をすると。これ
までも、実は日本は、外務省のホームページを見
ますと、ODAのところで出てきます。日本は、
このロヒンギャを対象にということでよろしいで
すか。ロヒンギャという言葉は日本政府の言葉か
らは出てこないんですけれども、その点について
は、大臣、いかがですか。ロヒンギャという言葉
は、何か使うと都合が悪い事情があるんでしょう
か。その点について、いかがですか。
○小林政府参考人 お答えいたします。
ただいまの議員の御質問につきましては、事前
の質問通告をいただいていないというふうに存じ
ますけれども、ロヒンギャという言葉につきまし
ては、それを使う人あるいは聞く人の側でいろい
ろな解釈が……(渡辺(周)委員「済みません、
ちょっと近づいて、話がちょっと聞こえにくいの
で、マスクなもので、済みませんね」と呼ぶ)申
し訳ございません。
委員の御指摘の質問につきましては、事前に通
告をいただいていなかったというふうに存じます
けれども、ロヒンギャという言葉につきましては、
それを使う人あるいはそれを聞く人の側でいろい
ろな解釈を残すものであるというふうに認識をし
ておりまして、そういう観点からラカインという
言葉を使っているということでございます。
○渡辺(周)委員 これはミャンマーの国内法で、
ロヒンギャという民族は、ミャンマーのビルマ時
代に作られた法律だったかという私の認識であり
ますけれども、ロヒンギャという民族は、ミャン
マーの国家を構成する民族としては名前がたしか
ないんですよね。
ですから、ただ、一般的には、世界的にも、あ
るいはメディアもロヒンギャ支援ということにな
っているんですが、日本としてはこれは使わない
ということでよろしいんですか。いかがですか。
○茂木国務大臣 いずれにしても、人道支援であ
ります。避難民であったりとか困窮している方々
の避難でありまして、日本として一般的に、どの
地域において、こういう形でありまして、少数民
族も含めて、この民族を支援するという言い方は
少ない、このように理解いたしております。
○渡辺(周)委員 これは、アムネスティ・イン
ターナショナルやあるいは西側各国も、ロヒンギ
ャということについて、支援について、つまりミ
ャンマーの国軍に対する、迫害でありますとか、
あるいは右派仏教徒による迫害があって、そこに
はロヒンギャという言葉がもう出てくるんですね。
日本がそのロヒンギャという言葉を使わないのは、
今のミャンマー政府に対する何らかの配慮、配慮
と言うと聞こえはいいんですけれども、何かしら
の忖度があるのかなというふうに思わざるを得な
いんですけれども、どうして日本だけがこの言葉
を避けて通るのかということを私は問うておるわ
けなんです。
もちろん、それ以外にもいろいろな民族があり
まして、カチン族だとかなんとかといろいろ難し
い名前の方々、私もミャンマーに行ったことがあ
りますから分かります、お土産にいただいた小さ
この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行
されるまでの間、審議の参考に供するための未
定稿版で、一般への公開用ではありません。
後刻速記録を調査して処置することとされた発
言、理事会で協議することとされた発言等は、原
発言のまま掲載しています。
今後、訂正、削除が行われる場合がありますの
で、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と
受け取られることのないようお願いいたします。
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
a – 2 –
なマスコットの木の人形には、ミャンマーを構成
するいろいろな、国の民族が民族衣装を着て一つ
のボードになったものをお土産にいただいたこと
があります。
それだけに、ミャンマーの今のこの問題につい
て、やはりアムネスティにしても、西側の各国が
ロヒンギャに対する迫害について、このクーデタ
ーが起きたことによって、再びバングラデシュに
逃げている方々もいらっしゃいます。しかし、ま
だ国内にとどまっている方々もいる。この人たち
に対する迫害が更に過熱するのではないかという
ことで、大変懸念される報道も出ているんです。
この点については、やはり問題の本質が分から
なくならないように、私は、しっかりとその呼称
についても是非検討して統一をしていただきたい。
この呼称についてもう一つ伺いたいのですけれ
ども、昨日の報道によりますと、日本政府は丸山
大使が面会をしました。外相としてワナ・マウン
・ルウィン氏、この人を外務大臣として呼ぶとい
うことを日本政府は決めたということなんですが、
それでよろしいですか、事実確認。
○小林政府参考人 重ねて恐縮でございますが、
ただいまの点につきましても、事前に質問の通告
をいただいていないというふうに承知をしており
ますが、その上で、一昨日、丸山大使がワナ・マ
ウン・ルウィン大臣にお会いした……(渡辺(周
)委員「済みません、もうちょっと前に」と呼ぶ
)申し訳ありません。
○茂木国務大臣 今、ミャンマーにおきましては
国家安全評議会、これが構成されておりまして、
その評議会においては今のワナ・マウン・ルウィ
ン氏が外務大臣に指名されているということであ
ります。
我々としては、今の評議会そのものが正当であ
るかどうか、こういう評価はいたしておりません。
ただ、カウンターパートといいますか、ある意味、
今のミャンマーの実際に治安等々を担っている責
任者の一人である、このように考えておりまして、
日本政府として直接にそういった人間に働きかけ
をする、このことは重要だと思っております。
○渡辺(周)委員 最初に申し上げますけれども、
私はあなたらにミャンマー情勢については質問し
ますというところを要旨で送っていますから、私
の間違いがなければ。しかも、そもそも、外務省
がそう決めたと報道されていることを、通告がな
いから答えられませんなんというばかげた答えを
してもらっちゃ困るわけです。
こんなものは、あなた方の所管で、もう既に報
道もされているわけですから、そんなことは聞か
れるだろうという想像力の下に、ある程度、回答
はどこからでも引き出しを開けて答えられるよう
にしておいていただかないと、そんな一々、こち
らもつまびらかに全ての質問を事前に通告するわ
けじゃありません。だけれども、ミャンマー情勢
だったら、この辺はもう既に報道されているベー
スのことだから聞かれるだろうということは分か
らなきゃおかしいんですよ。そのことについて、
あえてひとつ苦言を呈しておきたいと思います。
それで、分かりました、その呼称として、呼称
をいじる必要性があるということ。
これは報道によりますと、丸山大使がお会いを
された。報道されているのは、日本は、アウン・
サン・スー・チー氏率いる組織にも、この今回の
最高司令官に対しても、両方ともパイプがあるか
ら日本独自のアプローチをしているのだというよ
うなことが報道されているわけなんですけれども、
この丸山大使が、先ほど申し上げたロヒンギャの
方に対して、昨年、ロヒンギャの方々のことをベ
ンガル人であるというような発言をして、在留ミ
ャンマー人もそうでありますけれども、国際社会
からも、その言い方はないだろうと。
元々この人たちは、歴史的にも民族としてしっ
かりと議会にも代表を送り出して、独自のコミュ
ニティーを持ってきた方々。それが何か、あたか
もその国には存在していなかったかのような物言
いをされてきたということが、そもそも迫害の背
景にもあるんです。
それに対して、非常に親日的なミャンマーの国
の方々。言うまでもありませんけれども、戦後補
償をいち早く返上して求めなかった国でもあり、
様々な、私も、皆さん方もそうだと思います、ミ
ャンマーに行けば、やはり、日本に対する親和性
が大変強い国であります。国民の人柄というのも
大変おとなしい国民性でありまして、だからこそ、
ビジネスチャンスについても、日本が、民政移管
後にたくさんの日本企業が進出をしている。そし
て、ここにある、ミャンマーにあります日本人学
校は、世界で二番目にできた、世界で二番目に古
い日本人学校なんですね、一九六四年、ですから、
昭和三十九年にヤンゴン日本人学校ができたわけ
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
a – 3 –
でございます。それぐらい歴史の関わりは古いと
ころ。
それがゆえに、今、この国にもたくさんのミャ
ンマーの留学生や、あるいはビジネスチャンスを
求めて来る方々、普通にコロナ前、たくさん見受
けられました。非常におとなしい方々で、本当に、
そういう意味では日本人と非常にハーモナイズで
きる方々だろうというふうに思っているわけなん
です。
ちょっと話はそれましたけれども、そこで、先
ほど来、制裁はしていないけれども、当然、事態
の進展によっては今後どうするかという、日本政
府としてはODAに対する支援というものも考え
なきゃいけないんだという答弁がありました。
ただ、私どもは、日本政府は使わないけれども
ロヒンギャの方々、バングラデシュの難民キャン
プに逃げている方々、半数が子供であります。こ
の人たちが、やはり非常に凄惨な目に遭ってきた、
残酷な目に遭ってきた。だから、簡単に国に戻れ
と言うけれども、もう、その忌まわしい過去を思
い出すからその土地には戻りたくないという人た
ちが実は多いというのは、いっぱいNGOや様々
なジャーナリストがこのことについて触れており
ます。
今ここで起きている中で、このクーデターに対
して、実は、経済的抵抗をしようということで、
ヤンゴンにいる方々はもちろんなんですけれども、
例えば、先ほどもどなたか紹介されました公務員
ですとか税務署の職員とか、いろいろな職種の方
々が、ある意味では仕事をボイコットされて抵抗
している。中には、国民が選択した体制ではない
んだと、今の体制、軍事政権がですね、市民が、
納税や、あるいは国軍系の製品の購入拒否の動き
が広がっている。
国軍系の製品というのは、ミャンマー・エコノ
ミック・ホールディングスという、金融とか農業
とか鉱山採掘とかいろいろなものを幅広く押さえ
ている複合企業なんですけれども、例えば、ここ
と取引のある企業に対して、ビール会社のキリン
は取引を見合わせるというようなことを先般発表
されました。
個々人でいえば、社員が個人所得税を払わない、
つまり、税金を払うと軍の資金になるだけだから
それはしないで欲しいというようなことで、日系
企業の社員も日系企業に対して、個人所得税を払
わないでくれというようなことを、声が上がって
いる、これは日経新聞でおととい紹介されていま
した。
今現在、多くの日本企業は、日系企業は対応を
保留しているということなんですけれども、その
点について、日本政府は現状を認識していますで
しょうか。
○茂木国務大臣 まず、先ほど来、ミャンマーの
少数民族の問題がありました。これはミャンマー
だけではなくていろいろな国で、様々な民族、こ
れから構成をされるという中で、少数民族を含め
て、その権利等がしっかりと代表される、こうい
ったことは極めて重要だと思っております。そう
いった中で、日本として民主化等々のプロセスを
支援していく。
ただ、民族、これを強調することが正しいかど
うかというのは、例えば一九九四年のルワンダの
問題を見ても、ツチ族とフツ族、こういう対立を
どちらかというと欧米があおることによって、あ
れだけの惨事、当時の人口でいいますと九百万で
したけれども、その中で百万人が亡くなる、そう
いう事件も起きたわけでありまして、その扱いに
ついては慎重な対応が必要だ、私はそんなふうに
思っております。
そういった中で、それぞれの民間企業が現在の
状態を考えてどういう経営判断をされるか、それ
はまさに企業の判断ということでありまして、企
業も今後は、単に営業活動ではなくて社会的責任、
こういったものも考えながら判断をしていくんだ
ろうと思っております。
一方では、政府の立場としては、単純に支援な
のか制裁なのか、こういう問題よりも、まず、い
かにしてこの深刻な状況を鎮静化させて収め、そ
して、ミャンマーを再び民主化のプロセスにどう
やってのせていったらいいんだ、このことは欧米
もそうだと思います、それから日本もそうです、
ASEAN諸国も。それぞれにどういう働きかけ、
どういうやり方が適切で効果的なのか、こんなこ
とを考えながら検討していくということになると
思います。
○渡辺(周)委員 ミャンマーの会計年度は、以
前は日本と同じで四月一日から三月までだったん
ですが、今、十月から九月三十日までに変わって
いるんですね。ですから、会計年度的に言うと、
その納税を今どうするかということは、直ちにど
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
a – 4 –
うということではないんだと私は思います。
私がお尋ねしたのは、ミャンマーの国民の中に
は、結局、税金を払うとその税が国軍のいわゆる
資金源になるから今経済的抵抗をする、いわゆる
非暴力ではありますが、町に出て、街頭でデモ行
動をする方々もいれば、納税をしないという形で
政府に対してダメージを与えようという、今の政
府というか、クーデターの暫定政権に対してです
ね。
それに対して、日本企業で働く人たちが、自分
の税金は納めないでくれというようなことがあっ
て、日本企業はそれを、今、対応については保留
しているというような報道があったので、それに
対して、それは、今の大臣の答弁ですと、社会的
責任をそれぞれで考えてくれと言いますが、それ
ならば、日本政府は、今のミャンマーのクーデタ
ーの政権は正当な政権だというふうに認めている
のか認めていないのか、もうそこのところがはっ
きりしないと、いわゆる納税拒否という形の動き
が、企業に任されても困ると思う。そこに対して
どういう指針をお持ちなのかということを聞いて
いるんですから、そこは、大臣、もう一回お答え
いただけますでしょうか。
○茂木国務大臣 今、新しい、例えば、政権が正
式に発足した、そのようには考えておりません。
一方で、この事態を収束させるためには、今の
国軍等に対して働きかけをしていくということは
必要だ、このように考えております。
○渡辺(周)委員 それを、では聞き方を変えま
すけれども、日本政府として、丸山大使が在ミャ
ンマーの企業等に対してそういう形で一定の指針
を何らかで伝えるべきで、それはやっていますか。
そうしないと、個々の企業が社会的責任を果たし
てくれということを言われても、実際、社員から
納税をしたくないんだという板挟みに遭っている
方々に対してどう答えていいか分からない中で、
そこの対応については、日本政府がやはり一定の
方向性を示すべきだと私は言っているんですけれ
ども、いかがですか。
○茂木国務大臣 恐らく、事態が今動いておりま
す。どういった形で収束をさせていくか、これを
考えなきゃならないときに、すぐに全てのことに
ついて今日答えを出すというのは、私は外交的に
は無理だと思います。先生にそのような見識があ
るんだったら、私よりも優れた能力をお持ちなん
だと思います。
○渡辺(周)委員 もちろん、外交の状況につい
て、私どもが、じゃ、ひょっとしたら明日、何ら
かの形で、今の政権が何らかのステートメントを
出して収束に向かうかもしれない、それは否定で
きません。
ただ、もう一年間の非常事態宣言を出している
わけですから、最長で、これは一年間ですから、
あと十一か月ぐらい、今四十日ぐらいクーデター
からたちます。ですから、十一か月以上続く可能
性もあるわけですね。それはどちらもあり得る話
ですけれども。
実際、今ミャンマーのクーデターをめぐって、
日本政府の立ち位置というのが、独自の解決をす
ると言いながらも、現実、解決がいつになるのか
分からない。現実の、今の状況の中で最善の判断
をしなければいけない。しかし、国際社会から見
れば、解決をしてくれればいいんだけれども、日
本だけが何か、はっきり言って、ミャンマーに対
しては少しはっきりしない態度なのではないかと
いうような言われ方もあるわけでございます。
この問題をやると、もう二十分たっていますか
ら、ちょっとそろそろこれは区切りにしますよ。
でも、そこは是非やってください……(茂木国務
大臣「いや、それはないと思うから」と呼ぶ)い
や、だけれども、それは……(茂木国務大臣「国
際社会、聞いているから」と呼ぶ)はい。
じゃ、そこは、この話はまた、今回だけじゃな
くてやりますけれども、ただ、このクーデターが
起きたことによっていろいろな新しい問題が噴出
しているわけですから。そこをちょっと最後、答
えてください。
○茂木国務大臣 私も、米国、英国、そして豪州、
さらにはASEANのリーダー格でありますイン
ドネシア、ブルネイ、さらにはタイ、それぞれの
カウンターパートと話をしております。率直な意
見交換ができる仲です。初めて会う人というのは
いませんから。そういった中で、どう考えても、
日本の対応が遅れている、こういった声はないと
思います。決してそんなことはないと思いますし、
例えば、丸山大使にしても、少なくとも、今、こ
の暴動に対して治安当局をどう抑えていくかとい
うことについては、国軍関係者であったりとか、
今の体制に働きかけるしかないんです。
では、アウン・サン・スー・チー最高顧問、今、
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
a – 5 –
拘束をされて、早期解放を求めておりますけれど
も、残念ながら、それが政府として今機能してい
るかというと、正しい、間違っているは別にして、
機能していないのも現在の状況でありますから、
そこの中で、どの政府をどう認めて、何という判
断をどこかの国がしているかというと、していな
いと思いますよ。決して、日本の対応が遅れてい
る、こういう評価では私はない、このように思っ
ております。
○渡辺(周)委員 ちょっと、また事態の進展を
見ながら、改めてこの問題、是非やりたいと思い
ます。
何で私がこの問題に熱くなったかというと、私
の死んだおやじというのがビルマの建国運動に関
わったことがございます。アウン・サン・スー・
チーさんが子供だった頃に、うちのおやじはアウ
ン・サン将軍とスー・チーさんと同じところに住
んでいたという、実はちょっと歴史的な関わりが
あるものですから、少しこの問題については私も
熱くなったところがあります。ちょっとこのこと
は、ですから、その思い出でまた改めてちょっと
やりたいと思う。
ほかの質問でちょっと、させていただきます。
いろいろ伺いたいことがあるんですけれども、時
間の関係で一点。
先般、二月の二十六日に、中国が台湾のパイン
の輸入停止を発表しました。害虫検出を、害虫が
出たということで、口実にした経済制裁ではない
かと台湾の世論が沸騰しました。毎年平均四万ト
ンある対中輸出、これは台湾の栽培量のおよそ一
割です。九割が国内消費。蔡英文総統は、九九・
七九%が品質検査で合格した、にもかかわらずと
いうことで、行政院ですね、内閣が促進PRを行
いました。
三・一一、明日で十年になりますが、この三・
一一のときに台湾が夜通し国民に支援を呼びかけ
て、そのお礼をしよう、その恩返しの意味もあっ
て、いろいろなところで、私も、ネットに書いた
ところ五百以上の数の反応がありましたけれども、
本来、中国に輸出する分の史上最高額、史上最高
の量の日本へのパイナップルの輸出が決まったと
いうことになりました。
しかし、これは、台湾と日本、もう非常に隣人
として、私はあえて隣国と言いますけれども、隣
国として大変いい関係にはあるんですが、ただ、
一つ、明日で十年になるこの震災の影響で、台湾
は、そうはいいながらも、福島、茨城、栃木、群
馬、千葉、アルコールを除く全ての食品が輸入停
止となっています。二〇一五年の五月から、台湾
政府は強化をしますと。例えば、産地証明書に加
えて放射性物質の検査報告書も添付するようにと
いうことで要求がされております。
非常に日本と台湾、友好的に、本当にいい関係
ではありますけれども、台湾のこの五県に対する
全ての食品の輸入停止、あるいは、私ども静岡県
ですと、静岡県も含め、東京、愛知、静岡県と大
阪、茶類産品、お茶に関係するものは、先ほど申
し上げましたように、産地証明書に加えて放射性
物質の検査報告書が要求されておる。
決して台湾産パインの支援の見返りではないん
ですが、私たちは見返りを求めない支援というも
のがやはり日本の美徳だとは思いますけれども、
さはさりながら、ただ、今も、十年たって、友好
的間柄にある、最も親和性の高い台湾においても
いまだ、まだこうした輸入規制が続いております。
この点について、十年を契機にして、やはり日
本としてこの輸入規制の解除というものを実現す
べきだと思いますけれども、外務省としていかが
お考えでしょうか。
○石月政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の日本産食品に対する輸入規制の撤
廃、これは政府の重要課題でございます。総理及
び茂木大臣からも、あらゆる機会を捉え、関係国
・地域に対し、日本の食の安全性確保の取組につ
き説明し、規制撤廃に向けて働きかけてきました。
こうした働きかけの結果、昨年はフィリピン、モ
ロッコ、エジプト、UAE及びレバノンが、本年
一月にはイスラエルが規制を撤廃しました。規制
を導入した五十四か国・地域のうち、現在までに
三十九か国・地域で規制撤廃が実現されておりま
す。
御指摘の台湾につきましては、福島県等五県産
食品に対する輸入停止、また先ほどございました
茶類製品を含むその他一部の食品に対する放射性
物質検査証明の添付要求等の措置が継続している
ものと承知しております。
台湾側に対しましては、日本台湾交流協会を通
じまして、食品の安全性等に関する各種の情報を
提供しております。科学的根拠に基づく早期の規
制撤廃を働きかけてきているところでございます。
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
a – 6 –
台湾の方々が日本産食品の安全性について理解
し、規制の早期撤廃につながるよう、今後も日本
台湾交流協会を通じ、あらゆる機会を捉えまして
粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。
○渡辺(周)委員 その台湾の交流協会が、大使
館に当たる日台協会がパイナップルのことについ
ても支援をしているのはフェイスブック等で出し
ていますね。台湾産のパイナップルを日本でもど
うぞというような応援をして、それに対してたく
さんの感謝の声が寄せられているとさっき申し上
げました。
だからこうだという、別に見返りを求めるわけ
ではないんだけれども、ここまでのことも含めて、
十年ですから、せめて台湾は、ほかにも韓国とか
中国とか香港とかマカオとか、あと五つの国が輸
入規制をかけていることは百も承知でございます。
それで、先ほどお話あったような統計は私も持っ
ていますから、どこの国が段階的に輸入規制を解
除したかということもよく承知しております。
ですけれども、台湾が、意外なのがなぜ台湾が
ということなので、是非このことについては、十
年という節目ですから、もう科学的な根拠につい
ても何度も説明をしているはずなんです。実際に、
台湾の厚生省に当たる部署ではとっくに緩和する
ようなことも言っていたんだけれども、結果的に
はこのことについてその後ちょっとなし崩しにな
っているということなので、是非この点について
は更なる働きかけを続けていただきたいと思いま
す。
ちょっともう時間がなくなりました。
大臣に伺いたいんですけれども、来週十六日に
2プラス2が、ブリンケンさんとオースティンさ
んと2プラス2が東京で行われるという報道があ
ります。今朝の日経新聞ですと、尖閣問題につい
て中国を名指しで取り上げるんだというような報
道がありましたけれども、もう既に共同文書の中
身は固まっているということでよろしいですか。
○茂木国務大臣 主要外交日程については決まっ
た時点で速やかに発表いたします。また、議論し
た内容の概要につきましては、会談後発表すると
いうことになると思います。
その上で、仮に、バイデン政権発足後のこの早
いタイミングで、日米外相会談であったりとか2
プラス2において、強固な日米同盟を再確認し、
現下の厳しい安全保障環境や様々な課題を抱えて
いる地域情勢、国際情勢について議論する機会を
得ることができれば大変有意義だと考えておりま
す。
○渡辺(周)委員 バイデン大統領、副大統領時
代に、オバマ政権が正直、中国に対して対応が後
手に回った。それは、パリ協定に中国を何とか協
力させるために、やや海洋政策について目をつぶ
ったのではないかというようなことがその後指摘
されました。例えば、尖閣における領空について、
中国が一方的にあのときにADIZを設定をしま
した。その後、三日後にアメリカが戦略爆撃機を
飛ばしてというような若干動きはあったんですけ
れども、結果として、航行証明を出せという中国
の言い方に対して、結果的にその後ノーアンサー
であったというようなことが実はございます。
ある意味では、オバマ政権のときの共同責任者
である副大統領が今度大統領として就任をされ、
特に2プラス2で日本に来る。この尖閣の問題に
ついても相当踏み込んだ話をしていくべきだろう
というふうに思います。
そこで、最後にちょっと二つ聞きたいんですけ
れども、バイデン政権が三月三日に発表した暫定
戦略指針、本格的な国家安全保障政策までの当面
のつなぎですけれども、北朝鮮の非核化について
は文言がなかった。核、弾道ミサイル脅威の低減
という言葉にとどまって、保有を前提とした、も
う保有を容認したのではないかという見方もあり
ます。このバイデン政権の朝鮮半島非核化につい
てのスタンス、これを日本の外務省としてはどう
見ているかということが一点。
それから、北朝鮮については、やはり、これは
日米韓のオンライン局長会議でも、米朝二国間交
渉の継続を要請した、やはり多国間交渉よりも米
朝二国間で交渉することが有意義である、あるい
は北朝鮮に最も効果的であるということでありま
した。その点について、四月にも菅総理大臣が訪
米するのではないかというような観測記事もあり
ましたけれども、まずは2プラス2の中で、北朝
鮮の非核化についてはやはり二国間交渉、アメリ
カがやはり前面に出るべきであるということ、そ
れから、拉致問題について、バイデン政権が、新
政権がどこまで拉致問題を認識しているのかと。
もう御存じのとおり、被害者家族が次々に、横
田滋さんを始めとして昨年お亡くなりになりまし
た。もう皆さん御高齢でいらっしゃいます。横田
令和3年3月10日 衆議院外務委員会議事速報(未定稿)
a – 7 –
早紀江さんも八十五歳。先般、報道でも見ました
けれども、なかなか全国でかつてのように講演し
て回るような体力も今は厳しいんだというような
ことを心情を吐露していらっしゃいました。
やはり、北朝鮮の拉致問題についても是非2プ
ラス2。核と同様に、アメリカから、そこは我々
も、もちろん日本が第一義的にやるんだけれども、
バイデン政権に対しても、決して融和的な政策を
取るのではなく、北朝鮮の拉致問題については早
期解決のために一肌脱いでくれということを是非
2プラス2の席でお伝えいただきたいわけですが、
大臣、いかがですか。
○茂木国務大臣 2プラス2について、今の時点
でいつやる、実施する、こういうことについて申
し上げられませんが、対北朝鮮については、日本
として日朝プロセス、支持をしております。
同時に、拉致問題、拉致、核、ミサイルと包括
的に問題を解決していきますが、拉致問題につい
ては日本が主体的に取り組む問題であると考えて
おりまして、菅政権としても最重要課題と考えて
おります。
日米間でもこの問題については議論をしており
まして、拉致問題、御家族の皆さんも高齢となる
中、早期の解決が必要だと日本からも訴えかけ、
アメリカからも拉致問題の改善について全面的な
支持を得ているところであります。
○渡辺(周)委員 是非、このアメリカ新政権が
人権、人道を標榜するのであれば、まさにこの北
朝鮮拉致問題について、先ほどのどなたかもおっ
しゃいましたウイグルのまさに問題も含めてです
けれども、北朝鮮における日本人拉致問題、この
問題は是非同格にアメリカに認識を持っていただ
いて、同等の重みを持って新政権が北朝鮮に対し
て働きかけをすることを願うばかりであります。
今の北朝鮮の状況というのは、御存じのとおり、
新型コロナウイルスの発生から、中国との国境を
封鎖しました。中国側の発表によりますと、中朝
貿易の総額というのは八割も減ってしまっていま
す。そして、さらには、これまでの経済制裁と度
重なる豪雨災害で、もう既に、食料の摂取が不足
する住民の割合というのは六三%になる。非常に
北朝鮮は今弱っています。
ですから、私は何らかの形で交渉を持ちかける
メッセージだと思います。是非その点について、
力強く、日本政府、できれば本当に総理が、ある
いは外務大臣がユーチューブにでもアップして、
北朝鮮に直接メッセージを投げかけるような、そ
れぐらいのことをしてはいかがかと思いますけれ
ども。
なぜ私はここで言うかというと、拉致の委員会
が開かれないんですよ、一昨年から。ずっと言っ
ているけれども開かないので、なかなか拉致問題
を外務大臣に質問する機会がないものですから、
是非そのことを訴えたいと思います。
また、どうです、そのぐらいの覚悟を持って、
是非主体的にやっていただけませんか。いかがで
すか。
○茂木国務大臣 拉致問題、バイデン政権も、人
権政策含めて極めて重視をしていると思っており
ます。
そして、先ほど申し上げたように、この問題は
日本が主体的に取り組む問題だと考えておりまし
て、時間はない、そういった中で、あらゆるチャ
ンスを逃すことなく取り組んでいきたいと思って
おります。
○渡辺(周)委員 いや、主体的に取り組む問題
であることは当たり前です。ただ、国会のこのせ
っかくつくった委員会においても開かれないわけ
で、それは北朝鮮に間違ったメッセージとして、
日本の国会では全然議論していないじゃないかと
いうことに、北朝鮮だって、当然、間違ったメッ
セージになりかねないわけです。北朝鮮は当然こ
の動きを注視しています、そのことを。
だからこそ、是非とも外務大臣には、この2プ
ラス2の場を通して、あるいは、日本の外交の責
任者として主体的に取り組んでいただきたい。最
後にお願い申し上げまして、私の質問を終わりま
す。
ありがとうございました。