令和3年2月25日 衆議院予算委員会第一分科会議事速報(未定稿)
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○藤原主査 次に、内閣所管について審査を進め
ます。
質疑の申出がありますので、これを許します。
渡辺周君。
○渡辺(周)分科員 立憲民主党の渡辺でござい
ます。
今日は、官房長官に御出席をいただきまして、
幾つか当面する課題につきまして質問をさせてい
ただきます。
まず冒頭に、今朝ほどの報道で、IOCが二〇
三二年夏のオリンピックの候補地にオーストラリ
アのブリスベンに一本化したということが、これ
はNHKのニュースウェブで、ニュースで、七時
四十二分の報道があった。
幾つかもう既に報じられているわけですけれど
も、二〇三二年の夏のオリンピックがブリスベン
に一本化されたということは、日本政府として何
かしら情報は得ていますでしょうか。
○加藤国務大臣 昨日開催されたIOC理事会に
おいて、二〇三二年の夏のオリンピック、パラリ
ンピックの優先候補地としてオーストラリアのブ
リスベンが選定されたこと、このことは承知をし
ております。
○渡辺(周)分科員 そうしますと、実は、我が
国が今年、今や時間が刻々と迫っておりますけれ
ども、昨年延期になったこの東京オリンピック、
幾つかオリンピックの延期が言われる中で、ひょ
っとしたら二〇三二年に日本開催をなんという実
は一部報道もあったりしまして、既に二〇二四年
がパリで二〇二八年はロサンゼルスともう内定し
ているだけに、それにしたって、二〇三二年とい
うのはちょっと正直、十一年先の、もうそれぞれ
のアスリートもそれなりの年齢になっております
し、今この国会にいる我々もちょっと予想もつか
ないような時代になっているわけでございます。
果たして現職でここにいるのかどうか。お若い方
々はいらっしゃるかもしれませんけれども、皆さ
んどうなるか、十年先のことなんてもうまるで分
からない中で。
そうしている中で、またもう一つ報道がやはり
ありました。アメリカのバイデン大統領が緊急事
態宣言を一年延長すると。これは、昨年、トラン
プ前大統領が三月十三日に発出をした緊急事態宣
言を、これを、一年間であった、三月一日を起点
として一年間ということですから、二〇二一年の
三月一日までがいわゆる前大統領が発出をした緊
急事態宣言、それが一年間延長される。
ただ、アメリカは、緊急事態宣言というのはこ
れまでも何度もいろいろな形で出しております。
それは、ハリケーンだったり大雪だったり、もち
ろん、当然、九・一一のテロのときもそうなんで
すけれども。
この緊急事態宣言を今度はバイデン大統領が一
年間延長する決定を下したというニュースが朝飛
び込んできまして、そうしますと、これは政府に
伺いたいのですけれども、アメリカの緊急事態宣
言が一年間延長されたからといって、東京オリン
ピックに選手団を派遣するか否かということにつ
いては影響はあるのかないのか、日本政府として
はどう受け止めていますか。
○河村政府参考人 お答えいたします。
政府として米国選手団の派遣についてコメント
する立場にはございませんが、米国選手も含めて、
各国の選手が安全、安心なオリンピック、パラリ
ンピックだということを確信いただけるように、
私どもとしては、関係者と連携したところで大会
の成功に向けて準備を重ねてまいりたいと考えて
おります。
○渡辺(周)分科員 先般のこの予算委員会でも、
橋本前大臣に私、質問もしました。バイデン大統
領は、今月七日のラジオ演説で、東京オリンピッ
クは安全に開催できるか、科学に基づいて判断す
べきと発言をしました。残念ながら、納得のいく
ような御答弁を前大臣、橋本大臣からは当時いた
だけませんでしたけれども。
今おっしゃっているような、私ども静岡県もオ
リンピックの自転車競技の会場になっています。
そして、幾つものホストタウン、十を超える自治
体が、ホストタウンとして、もう既に選手団の受
この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行
されるまでの間、審議の参考に供するための未
定稿版で、一般への公開用ではありません。
後刻速記録を調査して処置することとされた発
言、理事会で協議することとされた発言等は、原
発言のまま掲載しています。
今後、訂正、削除が行われる場合がありますの
で、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と
受け取られることのないようお願いいたします。
令和3年2月25日 衆議院予算委員会第一分科会議事速報(未定稿)
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入れや事前合宿なんかの準備をしているんですね。
去年からやってきて、市民のいろいろな協力を得
てここまで来たけれども、延期によって正直水を
差された。その中で、実際オリンピックはできる
のだろうかというようなやはり思いはあります。
それは、いろいろな世論調査に表れる数字は相
当諦めに近いようなものもありますけれども、し
かし、何とか実現できないものか。今のままいき
ますと、何か二〇三二年、ブリスベンを一本化し
て考えられると、もし今年なかった場合に日本は
いつオリンピックを今度は開催できるのだろうか
という、まさに失望に変わるわけなんです。
そこで、あえて伺いますが、オリンピックは、
今選手団が内定しているのは五七%、選手が。残
り四三%についてはまだ予選や選考会も行われて
いない。しかし、東京オリンピック・パラリンピ
ックを開催するとなれば、予選の期限は六月の二
十九日です。出場登録の締切りは七月五日となっ
ています。もう来週は三月です。
この今のアメリカが緊急事態宣言を出して、し
かも、オリンピックに対しては科学的な根拠に基
づいて開催されるべきだと言っている国が果たし
て選手を出せるだろうかということ。もっと言え
ば、予選や選考会を行って、何とか六月二十九日
まで物理的に間に合わすことができるだろうかと
いうことを考えますと、やや悲観的にならざるを
得ないところも正直あるんですね。もう物理的な
もの。
これは誰が悪いんじゃなくて、よりによって二
〇二〇年、日本でオリンピックをやるという、こ
こまで準備して、こんな、世界的に、世界の人類
史上でもまれにないような全国的な感染症が巻き
起こって、なぜよりによってこの年にこんなこと
が起きるんだという、ある意味ではぶつけようの
ない、何か怒りというか恨みといいましょうか、
こういうものを天に向かってつぶやきながらも、
この理不尽な、なぜ我が国がこのような歴史的な
節目にある年にこんなことが世界で起きるんだろ
うか、神様は何とむごいことをするのだろうかと
いうふうに思ったりもするわけでございますが、
しかし、さりとて、もう精神論だけでどうこうで
きるという時期ではないと思います。今おっしゃ
ったように、いろいろな今までもたくさん御答弁
いただきました。だけれども、もう精神論を超え
た時期に来ています。
そこで、是非伺いたいのは、こうした、アメリ
カが国家緊急事態宣言を一年延長する、そして、
二〇三二年にはオーストラリアのブリスベンでオ
リンピックを開催する方向で動き出すという中で、
我が国に残された時間は、選択肢はそうない。そ
うした中で、是非日本政府として、もう一つのや
はりプランBも考えるべきではないのだろうか。
それはなかなかお答えにくいかもしれませんが、
例えば、二〇二四年にパリと日本で共同開催する
ようなことを検討することはできないのかという
ふうなことも思うわけです、二〇三六年まで待っ
ていられませんから。
しかし、二〇二四年にもしそういう可能性があ
るならば、アスリートたちのモチベーションも、
あるいは何とかオリンピックを実現したいという
日本国の国民の思いもモチベーションを維持でき
ると思うんですが、そうした可能性というのは、
官房長官、日本政府として考えるべきだと思いま
すが、いかがですか。
○加藤国務大臣 まず、おっしゃったアメリカの
国家非常事態宣言って、これは別に一年間で期限
が来ているわけじゃなくて、宣言をして一年以内
にやらないと消えていく、宣言の一年後の日から
遡って九十日以内に議会に継続を通知するという
ことが延長に必要だという、その行為がなされた
というふうにまず承知をしております。
それから、オリンピックについては、これまで
も再三御答弁させていただいておりますように、
昨年七月のIOC総会において、今年七月二十三
日のオリンピック大会の開会式を皮切りに、競技
スケジュールとその会場が既にもう決定されてお
りまして、今、大会の成功に向けて関係者一丸と
なって準備に取り組んでいるところであります。
また、二月十九日のG7の首脳声明においても、
新型コロナウイルスに打ちかつ世界の結束のあか
しとして今年の夏に安全、安心な形で二〇二〇年
オリンピック・パラリンピック競技大会を開催す
るという日本の決意を支持するとされたところで
あります。
また、昨日のIOCのバッハ会長、ちょっと詳
細は手元にありませんが、報道によると、橋本新
会長の就任を歓迎することと併せて、橋本新会長
の下で進む大会準備に期待が示された、これは報
道されたところでございますけれども。
いずれにしても、政府としては、東京大会にお
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ける新型コロナ感染症対策について、国、東京都、
大会組織委員会、感染症専門家等によるコロナ対
策調整会議において実効的な対策の検討を進め、
また、昨年十二月にまとめた中間整理を踏まえて
更に具体的な検討を行い、必要な対策を確実に実
施をしていく中で、大会に向けた準備、これを着
実に進めていきたいというふうに考えております。
○渡辺(周)分科員 日本の決意を支持したと。
決意を支持したのであって、開催に向けて全力を
挙げていただくと世界が約束したわけではないと
いうのが非常に気にかかるわけなんですよ。
我々がその決意を持ってやるという覚悟はあり
ます。しかし、世界の状況がどうなのかとさっき
から申し上げているんです。四三%でまだ選手が
決まっていない、予選も選考会もできない中で、
しかも、世界の中では、日本では国民が我慢をし
てここまで何とか、千人や二千人という東京都で
発生したような数が最近は大分、三桁まで来て、
二百人や三百人というところまで我慢した結果と
して来たんですけれども、世界の中ではまだ予断
を許さない状況の中。だからこそ、アメリカも非
常事態宣言が延長されるわけでございますが、し
かし、そうはいっても、もう日本の決意だけでど
うなるものでもないという時期に来ている。
それだけに、もう一回お答えいただきたいんで
す。やはり、もし万が一、これは言霊ですから、
余りそんなことを、ほら、そんなことを言ったら
本当にそういうことになるぞというのは言霊の中
で忌み嫌うべきことかもしれませんが、しかし、
世界の状況が許さない中で、できなかった場合に、
例えばどこかの国が参加を見送るようなことにな
ってもやるのか、やれる国だけでやるのか、それ
とも、別の選択肢として先ほど申し上げたように、
例えば二〇二四年に日本とパリで共同開催を検討
するように働きかけるとか、いろんな可能性のプ
ランBはあると思うんですけれども、そこはいか
がですか。政府は、官房長官はいかがですか。
○加藤国務大臣 同じ答弁になって恐縮ですけれ
ども、既にIOCにおいて実施をするということ
が決められ、それに向かって準備を進めているわ
けであります。
あと、どういう形で進めていくかは、先ほど申
し上げた感染症対策、これが大きなポイントにな
っていくわけでありますから、これについて、中
間整理を踏まえて具体的な検討、これは春頃まで
ということを申し上げておりますが、そういった
ことも決めながら、大会の開催に向けてしっかり
と進めていきたいというふうに考えています。
○渡辺(周)分科員 ほかの質問もありますので、
ここで時間を割くわけにいかないんですけれども、
もう既に、精神論で、我々が頑張れば何とかなる
という世界の状況ではないということはもうみん
な承知のとおりだと思うんです。
だからこそ、いろいろな国が感染対策をするけ
れども物理的にまだどうなるか予断を許さない中
で、やはりそこは、まあ、言いたくはないことで
すけれども、万が一のことを考えて、やはり次な
るオリンピックの我が国が開催をできる可能性、
あるいはどういう形でも開催をするに当たって安
全、安心にできるということについて、是非検討
を、様々な選択肢を残してやっていただきたいと
いうふうに思います。
次の質問に移ります。
実は、オリンピックに関連して言いますと、来
年二月に、もう一年切りましたけれども、北京で
冬季オリンピックが予定をされております。ただ、
その冬季のオリンピックに対して、ウイグルの自
治区の人権問題を理由として、幾つかの国の議会
などから、この開催地を変更することも考えるべ
きではないかというような意見も出され始めまし
た。そして、中国は、もし冬季オリンピックをボ
イコットするようなことになったら制裁するぞと
いうようなことまで中国メディアは発信を始めた
ところでもあります。
この今のウイグル自治区の状況において、もう
一つ一つ例を挙げる時間はありませんけれども、
世界の様々な国が、ウイグルのこの人権弾圧と言
われていることについて国連による国際的な調査
をすべきである、そういう形で、あるいはG7の
中で日本だけが行っていない、この人権抑圧を理
由とする法律を、マグニツキー法ですね、これは
ロシアの人権活動家が反体制の中で投獄をされ、
亡くなったという人権活動家の名前を冠にしてマ
グニツキー法というのがありますけれども、日本
はこのウイグルの現状について、先般、茂木外務
大臣は人権理事会のビデオメッセージの中で深い
懸念ということを発信されましたけれども、日本
として、この新疆ウイグル自治区における人権侵
害に対してどのような形で日本はコミットしてい
くのか。この点については政府はいかがお考えか、
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伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 まず、新疆ウイグル自治区に関
しては、重大な侵害が行われているという数多く
の報告もあります。
我が国としては、同自治区の人権状況について
は深刻な懸念を有しているということであります
し、また、国際社会における普遍的価値である、
自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国におい
ても保障されることが重要であり、こうした我が
国の立場については様々なレベルで中国側に働き
かけをしておりまして、関係国との間や国際会議
においても緊密に連携をし、例えば昨年十月には、
国連第三委員会において、香港、新疆ウイグルに
関する共同ステートメントにアジアから唯一の参
加国として参加し、新疆の人権状況に関する深刻
な懸念を表明したところであります。また、今委
員から御指摘があった、茂木外務大臣が一昨日の
人権理事会において、新疆ウイグル自治区等の人
権状況について深刻な懸念を表明するとともに、
中国に対して具体的な行動を求めたところであり
ます。
引き続き、関係国とともに国際社会が緊密に連
携して中国側に強く働きかけていくことが重要と
考え、そうした形で対応を図っていきたいという
ふうに考えております。
○渡辺(周)分科員 国連による調査団などを働
きかけていくお考えもありますか。いかがですか、
官房長官。
○加藤国務大臣 具体的なことについては言及は
差し控えさせていただきたいと思いますが、米国
を含む関係国とともに、中国に対して具体的な行
動を促していくべく対応していきたいと考えてお
ります。
○渡辺(周)分科員 そして、今も申し上げたん
ですけれども、アメリカが、イギリスが、あるい
はEU諸国が、EUが、先ほど申し上げたような
いわゆる人権侵害を理由として制裁を科すという
ような、なかなか正直、現実問題として、これは
BBCというイギリスの報道がこの問題を相当や
った中で、告発を番組の中でしてきました。
しかし、これは人権を擁護する代償として中国
との通商に影響があるのではないか、しかもこの
コロナによる世界的な影響の中で、その影響は大
きいのではないかという悩ましいコメントもしな
がら、実はこの番組が告発もされたわけなんです
けれども、実際、こうした人権状況を把握をした
上で、何らかの形で、もう既に日本も、綿花、コ
ットンですね、綿のいわゆる強制労働を理由とし
て、アメリカなどはその輸入をとどめ置くという
ような既に措置を取っております。
そうしたことに対して、国際社会のそういう潮
流の中で、日本としても行動を共にするというこ
とは考えているかどうか。そこはいかがですか、
官房長官。
○加藤国務大臣 まず、人権侵害制裁法、いわゆ
るマグニツキ法の関係でありますけれども、日本
は、人権を普遍的な価値と考え、人権擁護は全て
の国の基本的な責務であるというふうに考えてお
り、これまでも人権侵害に対してはしっかり声を
上げ、例えば、国際社会からの関心が高まってい
る新疆ウイグル自治区の人権状況について、中国
政府が透明性を持った説明をするなど、働きかけ
を行ってきているところであります。
また、対話と協力という基本方針もあり、二国
間対話や協力を積み重ねて、自主的な取組も他方
で促してきたところであります。
マグニツキ法のように、一方的に人権侵害を認
定して制裁を科すような制度を日本も導入すべき
かについては、これまでの日本の人権外交の進め
方、国際社会の動向、様々な観点から、不断に分
析して検討していく必要があるというふうに考え
ております。
また、委員の御指摘は企業による取組等という
ことだと思いますが、企業による人権尊重の必要
性については国際的に関心が高まっており、二〇
一一年には国連人権理事会において、ビジネスと
人権に関する指導原則が承認され、人権を承認す
る企業の責任が明確にされたところであり、また、
いわゆるSDGsの達成に向けても、人権の保護、
促進は重要な要素と位置づけられております。こ
のように国際的に様々な取組が続けられることを
踏まえ、日本政府においても、昨年十月に、企業
活動における人権尊重の促進を図ることを目的と
した、ビジネスと人権に関する行動計画を策定を
いたしました。
この計画では、企業が労働者の権利を保護、尊
重することの重要性も例えば書かれているところ
であります。
政府としては、この行動計画を踏まえ、様々な
企業とも意見交換を行っているところであり、引
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き続き、企業と意思疎通を図りながら、この行動
計画の周知などを通じて、ビジネスと人権に関す
る一層の理解の促進、意識の向上による責任ある
企業の行動の促進を図っていきたいと考えていま
す。
○渡辺(周)分科員 この問題ついては、また改
めて外務委員会等でもやりたいと思いますが、最
初に申し上げたように、バイデン新政権が誕生し
て、そしてEU各国あるいはカナダ、オーストラ
リアといった我々が価値観を共にする国々が、や
はりこの中国のウイグル自治区における問題につ
いては、これを看過できないというような強い立
場を取り始めているわけでございます。
その中で、やはり西側の我が国としてでも、こ
れは当然、経済や通商の問題においては中国とい
うのは大変大きな存在であることは間違いないわ
けでありますが、しかし、ここでやはりオリンピ
ックのボイコットなどということにならないよう
に、もうそういうことは、日本は、モスクワ・オ
リンピックで政治的な理由でボイコットしたとい
うような非常に苦い思いがあるわけでございます。
そういうことに国際社会の動きがつながらない、
国際社会の動きがそこに行かないような形で、や
はり中国の透明化と公開を求めて、やはり受け入
れるべきだと。
第一義的には中国に責任があるんですが、その
中で、日本として、やはり是非、西側諸国と連携
をしながら、ウイグル自治区の様々な今指摘され
ているような問題、たくさんの世界中のNGOか
ら、おぞましいほどの例が挙げられております。
各国の首脳クラス、フランスのマクロン大統領で
ありますとか、あるいはEUの議会、国連大使等
が、それぞれ様々な形で公の場で言っているとい
うことは、これは相当なる確証があって言ってい
ることだろうと考えれば、どうか日本も、主導権
を握って、主体的に、この中国の人権問題、ウイ
グルだけじゃありません、香港の問題もあります、
それも承知ですけれども、今日は時間の都合でそ
こまで行けませんが、是非、このウイグル問題に
ついて、日本政府としても、価値観を共有する国
々と連携して、中国にとにかく査察を受け入れる
ように働きかけをしていただきたいというふうに
思います。
残った時間は数分でございますが、海警法につ
いて伺います。
海上保安庁に来ていただいて、海上保安庁に伺
いたいのは、一千トン以上の中国海警局の船とい
うのは今何隻持っているか。そして、その海警局
の船の装備というのはどういう装備なのか。分か
る限りで教えていただきたいと思います。
○君塚政府参考人 お答え申し上げます。
海上保安庁におきましては、千トン以上の中国
海警局に所属する船舶等につきましては、令和二
年十二月末時点におきまして、約百三十隻である
と認識してございます。
また、どのような装備を搭載しているかでござ
いますけれども、海上保安庁においては、尖閣諸
島周辺海域において、中国海警局に所属する船舶
の一部に砲のようなものを搭載した船舶を確認し
てございます。
詳細につきましては、当庁の情報収集能力が明
らかになるおそれがございますので、お答えは差
し控えさせていただきます。
○渡辺(周)分科員 その辺の詳細については、
またちょっと個別に教えていただければと思いま
す。
これは、与党の中でも、この海警法が昨年十一
月に草案ができて、そしてつい先日、二月ですか、
これが二月になって一日に施行となりました。こ
れで、今度は、四月からは、第十四次の五か年計
画、中国がスタートするわけですね。三月は全人
代がある。
そういう中で、中国はこれから尖閣に対して、
いわゆる領域を、管轄区域というのを一方的に決
めて、国際法を無視して管轄区域というのを決め
て、ここに入ってきた、日本の国の公船だろうと
自衛艦、護衛艦だろうと、それはもう排除してい
いんだと。後づけの線引きをして、そこに入って
きた国は許さないという、またまさしく一方的な
話なんです。
我が国として、やはり、これはもう既に与党の
中でもいろいろな御意見があります。
かつて、私ども民主党が日本維新の会とともに
領域警備法というのを国会に提出しました、領域
警備法。ちょっと詳細をしゃべる時間はありませ
んけれども、それは、海上保安庁の船から海上自
衛隊に、いわゆる海上警備行動として切り替える
にはタイムラグがある。しかし、中国の海警法に
よれば、彼らは直ちに、中央軍事委員会の命令が
あれば防衛作戦の任務に当たるというふうに書か
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れているんですね。
つまり、彼らは、海警というのは、ある意味で
は準軍事組織なんです。いつでもその権限を付与
されて、いつでも実力行使をしていいという国に
対して、我が国の場合は、たとえ電話で連絡をす
るにしても、閣議決定で海上警備行動や治安出動
という、どうしても手続にタイムラグがある。だ
から、それをある意味ではないようにしようと、
野党から出した法律ですけれども、かなり画期的
な、大胆な法案を出しました。そしてそこに、海
域を警備するゾーニングをして、そこに常にいつ
でも防衛省とスイッチできるような形をしようと
いうことまで法案として出したんです。
官房長官に伺いたいんですけれども、今の、当
時と違って、我が党が出したときの時代と違いま
して、もう既に海警法という、中国が一方的に領
域を定めて実力行使をすることができるという、
まさに一方的な法律を作ったわけであります。我
が国も、ここは自衛隊が、海上自衛隊が出てくる、
護衛艦が出てくるとエスカレートさせることにな
るなんという理由じゃなくて、エスカレートさせ
ているのは中国の方なんです。中国側がエスカレ
ートさせているわけですから、本当に尖閣を取り
に来たときに、これは、私は、尖閣に上陸をして
接続水域を海警がぐるっと囲んで、日本の海上保
安庁も護衛艦も近づけないようにするうちに、そ
こで膠着状態をつくって、結果的に実効支配する
ということになりはしないかという懸念を持つん
です。
まさにそうさせないために、是非、与党の中か
らも再燃しているこうした領域警備法、これの必
要性を政府としては感じていないかどうか。必要
だということであるならば、直ちに、我々も賛成
しますので、是非とも、そこについては政府の今
のお考えを伺いたいと思う。いかがですか、官房
長官。
○加藤国務大臣 まず現状について、中国海警局
に所属する監視船舶の活動、まさに尖閣諸島周辺
の我が国領海内で独自の主張をするといった活動、
これは遺憾であり、国際法に違反する活動で、機
会を捉えて中国側に抗議をしているところであり
ます。
また、海警法については、我が国の様々な懸念、
関心について、これまでも機会を通じて中国側に
伝えたところであります。特に、国際法との整合
性の観点から問題がある規定を含むと考えており、
そうした中で、我が国を含む関係国の正当な権益
を損なうことがあってはならないと考えており、
こうした懸念や関心を中国側にしっかり伝えると
ともに、中国海警局をめぐる動向については、同
法が現場に与える影響を含め、引き続き高い関心
を持って注視をしているところであります。
また、今お話があったグレーゾーン等への対応、
まさに武力攻撃に至らない侵害に適切に対応する
ためには警察機関と自衛隊との連携が極めて重要
であり、自衛隊法や海上保安庁法等の既存の法制
の下、海上警備活動等の法令手続の迅速化を図っ
たところであります。
さらに、関係機関の対応能力の向上、情報共有、
連携の強化、各種訓練の充実、こうした必要な取
組も推進をしているところであります。
政府としては、切れ目のない十分な対応を行う
ため、警察機関、自衛隊の体制強化と能力の向上
を図る中で、我が国の国民の生命財産、そして我
が国の領土、領海、領空、断固として守り抜くと
いう方針で、毅然として対応していきたいという
ふうに考えているところであります。
○渡辺(周)分科員 今の、既存の法律をという
ふうに官房長官はおっしゃいました。ということ
は、いわゆる領域警備法のような新法は必要では
ない、そうでなくても既存の法律で対応するとい
う意味でおっしゃったのかどうか、そこを最後に
確認したいと思います。
当然、第一義的には海上保安庁なんだ、しかし、
もし尖閣に上陸したときには警察なんだ、しかし、
それ以上エスカレートした場合は、治安出動なり、
あるいは海上警備行動によって自衛隊が出てくる
んだというような日本側の役割分担というのは分
かります。しかし、相手は、さっきから言ってい
るように、一方的に国内法の延長で、これを平気
で当てはめてくる国です。
だからこそ、世界中でも今この問題について関
心を高めて、共々、やはり協力して対応すべきだ
ということになっておりますが、もう一回、閣法
として、いわゆる領域警備法のようなもの、グレ
ーゾーン対応の法律は出さないということをおっ
しゃったということでよろしいですか。
○加藤国務大臣 まず、既存の法制下で海上警備
行動等の発令手続の迅速化を図ったところであり
まして、また、関係機関の対応能力の向上、情報
令和3年2月25日 衆議院予算委員会第一分科会議事速報(未定稿)
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共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な
取組を推進をしているところであります。
また、海警法等の動きをめぐる動向については、
同法が現場に与える影響を含めて、我が国として
は引き続き高い関心を持って注視をしていかなき
ゃならないというふうには考えております。
○渡辺(周)分科員 残念ながら時間が来ました
ので、また改めての機会に質問したいと思います。
ありがとうございました。
○藤原主査 これにて渡辺周君の質疑は終了いた
しました。